賭博嫌い (1)
2005年4月4日アメリカのある小さな町で体験した出来事である。
日本を出発して、昼にロスの空港に着き、空港の近くでレンタカーを借りて、1人で長距離を移動中だった。5時間ほど運転した。植物のほとんど生えていない荒野が延々と続いている道を走り続けて、そろそろ早めの夕食にしようと思い、途中の見知らぬイナカ町にある小さなドライヴインで車を止めたのだった。
そこは、まるでアメリカ映画にでも出てきそうな光景であった。狭い店内にテーブル席が3つと、カウンター席があり、客は私の他に誰もいなかった。映画でよくあるように、こういう店には、愛想が悪くて機嫌も悪いウエィトレスさんが必ずいるってのが約束事になっているんだけど、その店は、店主のような男が1人で運営していた。映画だったら、客の1人が宇宙人だったりするんだけどなぁ・・・。そんな事を考えながら、私は1人、カウンターに座って安いジャンク・フードを注文して食べていた。
すると、身長が2mくらいあって、肌がテカテカに黒光りしている黒人の男が店に入ってきて、私のすぐ横のカウンター席に座り、彼も食事を取りはじめた。その黒人は、かなりおしゃべりな性格のようで、食事しながら、店主と思われる男と早口で盛んに会話している。私は黙々とジャンク・フードを食べながら、耳たぶをダンボにして彼らの会話を聴いてた。その黒人の男は、食事と会話をしながら、時々、私の方をちらちらと見るのである。ん・・・、来るかな・・・、来るだろうな・・・、ほ〜ら来た! まるで昔からの友人のように、彼は私に話し掛けてきた。
何の話をしたのか忘れてしまったが、食事が終わって、その店にあるビリヤードの台で、彼と一緒にビリヤードをすることになった。彼は尻ポケットからくしゃくしゃの10ドル紙幣を出して、台の上に置いた。映画でよくあるパターンである、賭けビリヤードなんだな。私もポケットから10ドル紙幣を出して、台の上に置いた。勝ったら、今の夕食代がうく。それで試合開始。
ところが、その時である。その店のドアが勢い良く開いて、2人組の男が入ってきて、こっちに向かって走ってきた。良く見ると、2人とも拳銃を構えている。わぉ!銃口を向けられるってのは初めての経験だ。頭の中が真っ白になった。
恐いよー! ブルーベリー、危うし!
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