パリのトイレ嫌い
2005年4月19日東南アジアの国々への旅をして、各国のトイレを利用してみると、やはり日本はアジアの一国だなぁ、といまさらながらに思い知らされるほど、和式によく似たトイレが多いのである。タイでもフィリピンでもマレーシアでも、外国人の多いホテルなどではなくて、現地の人が利用する施設では、洋式を探すのは至難の業といえる。デパートや鉄道の駅などで、便意に急かされてトイレに駆け込むと、個室の中にあるのは、金隠しの形状こそ角形、丸カープ型、あるいは金隠しそのもの無し、などと変化はあるものの、基本設計は完全に日本のそれと同じ、という便器が待っているのである。
そのような和式トイレ、つまり床に穴を穿った方式のものは、トイレの歴史の中では最も古典的な部類に属するわけで、ヨーロッパの国々でも、実は、しばしばお目にかかるのだ。
最近では、かなり改良され、ちゃんと洋式便器を据え付けた店がほとんどになったが、つい10年ほど前までは、パリの街中のカフェのトイレなどですら、この手のトイレが多かったのだ。個室の床がタイル張りになっていて、中央に向かって緩い傾斜がついている。真ん中に穴があって、金隠しは無し。その代り、穴の両協に、足を乗せるための小島が2つ作ってある。構造は一目で判る。用を足して、天井から下がっている鎖を引けば、壁の下側から水が流れ出してくる仕掛けだ。足を乗せる部分は、文字通り小島となって、靴が水で濡れるのを防いでくれるはずである。
誰だってそう思う・・・。
ところが、いざ鎖を引くと、必ずといってよいほど、流れ出る水量が異常に多いのだ。小島は完全に水没してしまい、濡れたズボンの裾のあたりに、浮き出した自分のウンコがプカプカとまとわりついたりする。
一体、フランス人はどうやってあのトイレを利用していたのか、今もって謎なのである。
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