国際物理年嫌い
2005年10月28日今年、2005年は「国際物理年」らしいのだが、これといっためぼしい行事もなく今年がまもなく終わってしまいそうだ。
なんで今年が「国際物理年」なのかというと、ちょうど100年前の1905年、アインシュタイン(1879-1955)が「特殊相対性理論」の論文を発表したのである。1905年は「奇跡の年」と呼ばれており、アインシュタインはその年に他の2つの重要な論文「ブラウン運動」、「光電効果」も発表している。近代物理学にとっては記念すべき年なのだ。更にそれから10年後の1915年には「一般相対性理論」も発表している。
アインシュタインは1922年にノーベル賞を受賞しているが、それは「相対性理論」の功績に対してのものではなく、「光電効果」に対してのものだった。まだその当時には「相対性理論」の正当性は完全には認められていなかったようだ。そして、「相対性理論」の発表から100年が過ぎた今、「相対性理論」ゆるぎのない理論と認知されている。
そのアインシュタインと「相対性理論」のは名前よく聞くのだが、「相対性理論」って何なのか知らない人は実に多い。なんだか難しそうな理論・・・のように思われているが、それは誤解である。「相対性理論」の意味しているポイントは以下の4点だ。
(1) 物体をどんなに加速しても光速には至らない。
(2) 空間も時間も絶対的なものではなく、伸びたり縮んだりする相対的なものだ。
(3) 重力は空間のゆがみである。
(4) 質量とエネルギーは等価である。
これらを数式で導き出して証明しているのだ。
特に有名なのが(4)で、これを示すのが、お馴染みの
E=mc^2
の式である。
(E:エネルギー、m:質量、c:光速度)
この式に従って、放射性元素の核分裂時の微少な質量の減少を莫大なエネルギーに変換しているのが、核爆弾であり、原子力発電である。
話は変わるが、一般の日本人は「エネルギー」のことを通常は、そのまんま、
「エネルギー」
と書く。
ところが、日本の理系の大学や研究所、企業などでは、
「エネルギ」
と書くのだ。最後の「ー」(長音記号)を書かない決まりになっている。
その他のカタカナ表記する外来語の単語でも同様に、最後にある「ー」は書かない。
「エレベーター」ではなくて「エレベータ」、
「エスカレーター」ではなくて「エスカレータ」、
「コンピューター」ではなくて「コンピュータ」、
「ターミネーター」ではなくて「ターミネータ」
なのである。
但し、「キー key」や「カー car」などの一語のものは「ー」をちゃんと書く。「キ」とか「カ」とは書かない。
この記法の起源には諸説あるが、記法そのものは日本国内ではほぼ統一されているようだ。読む時には、ちゃんと音を伸ばした発音をする人もいれば、書いてある通りに音を伸ばさない人もいて、そちらは統一されていない。なんて言う記法なのか名前があるのかも知れないが、私はそれを知らない。
私も大学は理系で、その時にこの記法を徹底された。レポートなどの中で「エネルギー」と書いてしまうと、最後の「ー」の部分に赤ペンを入れられて、「それでも理系かぁ?」のような嘲笑を受けるのである。卒論も学会へ提出する論文もこの記法で書かなければならなかった。だから、今でも、私はこの記法の癖が抜けないのである。うっかりすると、書く時には「ー」を書かないし、発音もしない。パソコンショップで店員さんに「すぷりった」とか「ろむらいた」とか「もにた」とか言うと、ちょっとだけ引かれた表情をされる。
一般の図書や雑誌の中でも、時々、この記法をしている著者を見かける。あぁ、この人は理系なんだなぁ・・・と想像がついてしまう。ちょっとだけ親近感もする。
この記法、理系じゃない人にも普及させたいんだけどなぁ。あまりメリットってないだろうが・・・。
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