地下鉄の乗客嫌い (3)
2005年12月1日札幌市営地下鉄での人間ウォッチングの話の続きである。
もう3年くらい前のことであるが、早朝に地下鉄に乗ったら、隣の席に男子高校生の3人組がいて、英語の勉強をしていた。これから中間テストか何かの試験があるのだろう、血走った視線で参考書のようなものを見ているのである。勉強する学生の姿は美しいぞ。
すると、その3人が英語の発音問題を互いに出し合いはじめた。私は自分の持ってきた本を読みながら、その会話を聴いていた。
「呼吸」を意味する名詞「breath」が動詞「呼吸する」になると、最後に「e」が付いて「breathe」になり、発音が「ブレス」ではなくて「ブリーズ」になるというようなことを言っている。
そうそう、その通りだ。いいポイントである。そうやって、ひとつ、ひとつ、知識を広げていくんだよ。
続けて、彼らの中のひとりが、「花輪」を意味する名詞「wreath」も同じパターンだと言う。
そうそう、動詞の「花輪にする」は「e」を付けて「wreathe」になり、発音は「リース」から「リーズ」に変わる。目の付けどころはいいぞ、その調子だ。
ところが、それに続けて言うには、「wreath」の発音は、先頭に「w」があるから、軽く「ゥ」の音が入るという。「ゥリース」、「ゥリーズ」だと言うのである。3人は互いにそれに納得しているようであった。
これには私はイスからズリ落ちそうになった。
勉強するのはいいけど、そんな間違ったことを覚えちゃいけません。
「wreath」にも「wreathe」にも、「ゥ」の音は全く入らない。「リース」に「リーズ」である。クリスマスに飾る花輪を「ゥリース」だなんて言う人がいるのかねぇ?
中学校で習う「write」も「ゥライト」じゃなくて「ライト」でしょ。これって発音問題でよく出るでしょ。これと同じでしょ。
六角レンチの「レンチ」は「ゥレンチ」じゃないし、「レスリング」も「ゥレスリング」じゃないでしょ。「プロレス」とは言うけど、「プロゥレス」だなんて聞いたことないでしょ。
もしかして、彼らは、「answer」を「アンスゥワー」、「sword」を「スゥォード」、「wrong」を「ゥロング」と発音するとでも思っているのではないだろうか。スペリングに惑わされてはダメだぞ。「アンサー」であり、「ソード」であり、「ロング」ある。「w」の音は発音しない。
同様に、「knife」は「クナイフ」じゃないし、「psychology」は「プサイコロジー」じゃないでしょ。
このクリスマスのシーズン、街角でクリスマス用のリースを見かけると、そんなことを思い出すのだ。
あの高校生たちは、その後、その発音が誤りだと気がついただろうか?
彼らが今でも生きていたら、大学生になっているかもしれない。ちゃんと良い大学で勉強していることを願う。
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