映画嫌い (13)
2006年3月14日今週の週末から劇場公開される映画「スピリット」ってやつも試写会で見てきた。
香港・米国の合作映画だそうだ。格闘技ものである。ワイヤーで吊っていない格闘シーンは良いねぇ。でも映画の内容はとてもつまらなかったなぁ。
中国語のタイトルは主人公の名前「霍元甲(フォク・ユェンチャ)」である。実在した人物の実話らしい。ところが、なぜか英語のタイトルが「Fearless」なのである。「恐れぬ」っていう意味のそのタイトルは映画の内容とはミスマッチだ。更に、日本でのタイトルを「スピリット」としたのはもっとミスマッチである。「スピリット」ってのを「精神」の意味だとしても、「酒」の意味だとしても、どちらも映画の内容を象徴していない。何のつもりでこんなへんな英語タイトルを付けてしまったのだろうか?
舞台は20世紀初頭の中国だ。格闘技の道場を父から受け継いだ主人公「霍元甲」のストリートファイターとしてのサクセス・ストーリーなのか、他の道場との骨肉の抗争なのか・・・と思って前半を見ていたら、ストーリーは違う方向にそのベクトルを向けてしまうのである。中だるみした農村での暮しをはさみ、後半では、西洋からの侵略を受ける当時の中国において、格闘技ショーでマッチョな西洋人レスラーを倒していくカンフー中国人の姿になっちゃっている。なんとかその武道家としての精神性を描きたかったのだろうが、残念ながらそれは失敗に終わっている。主人公が役柄的に魅力に乏しく、あれぢゃぁ主人公の精神世界に肩入れしたくなる気分になれないのだ。それに、親友の役で登場している実業家の丸眼鏡の男との友情ってのも、なんだかヘンテコなのである。素直にそれを友情とは認めたくない気分になる。そして、最後には格闘技とは直接的には関係のない原因の為にストーリーが終末を迎えているのにはトホホ感でいっぱいになっちゃった。
あの中村獅童が出演しているということで日本では話題にされているけれど、それがどうのこうのという映画ではない。中村獅童といえば、若い頃の米倉斉加年(この俳優さんの名前、ド忘れして、思い出すのにまる1日かかってしまった)のようなその悪役っぽい顔立ちから、「怪しい男」とか「憎まれ役」を想像しちゃうのだが、この映画では徳の高い日本人格闘技家を演じているのが意外だった。
ついでに言えば、主人公の霍元甲を演じる俳優・ジェット・リーが日本人の西岡なんとかという男優のように見えてくるし、上海で対戦した西洋人レスラー役のネイサン・ジョーンズがスキンヘッドにしたチャック・ウィルソンに見えてしまう。日本人の興業師「三田」を演じている原田眞人は、名前は忘れたが、ホリエモンの昔からの知人としてテレビに出演して矛盾だらけのしょーもないことをしゃべりまくる男(髭・眼鏡・サスペンダーの人だよ、名前は小飼弾だったっけ?)に見えてくるのが笑えた。
それにしても、農村の盲目の女性、そんなに美人じゃないんだけれど、いい感じだったなぁ・・・。瞳がハートマークになっちゃった。
映画「スピリット」
http://wwws.warnerbros.co.jp/spirit/
米倉斉加年
http://www.cma-co.jp/yonekura.html
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