映画嫌い (18)

2006年3月20日
 
「エミリー・ローズ」も試写を見てきた。最近、試写とか、もらいものDVDとか、無料サンプル盤DVDとかばかりで、まったく映画鑑賞行為にカネをかけていないんだけど、こ〜もつまらない映画ばかりであるから、カネをかけないのは正解だよなぁ。
 
で、「エミリー・ローズ」である。この映画も、カネをかけないで見たのは正解だった。
 
19才の女子大生、エミリー・ローズが死亡しているところから映画が始まる。過失致死の容疑でムーア神父が逮捕された。ムーア神父がエミリー・ローズに対して悪魔祓いの儀式を行なっている中での死亡だったのだ。女性弁護士がムーア神父の弁護を担当し、裁判が行なわれる。この女性弁護士が主人公である。女性弁護士とムーア神父の接見、ムーア神父の回想、そして裁判の様子を通して、エミリー・ローズに何が起こっていたのかが次第に明らかになっていく。裁判で精神科医はエミリー・ローズが「てんかん」だったと証言する。悪魔の存在・悪魔の憑依が事実であることを女性弁護士は裁判で証明し、神父の無罪を勝ち取ることができるのか?・・・ってな映画である。
 
この映画は「悪魔の存在を問う裁判」として有名になった実話を元にしている。しかし、映画では実話ではない脚色を加えて誇張し、実際の裁判とはかけ離れているものになってしまった。だから、実話ではなく、実話を元にしたフィクションだと言うべき内容なのである。前述のディズニー版「南極物語」が実話を元にしたフィクションであるのと同様である。実際のあの裁判は「悪魔の存在を問う裁判」ではなく、マスコミがそのように騒ぎ立てて書いただけのことで、悪魔の存在がどうのという点は、判決にも、その判決に至る過程でも無関係であった。実際の判決、この映画での判決は書かないでおこう。
 
同じ「悪魔祓い」を扱った映画としては「エクソシスト」が有名だ。あれも実話ってことになっていたけれど、調べてみれば、あの映画は事実とはかなり異なっており、元になっている出来事は悪魔が憑いたなどとは無縁の事だとバレている。とてもじゃないが実話なんかじゃないのだ。それなのに、映画ではオカルティズムを強調し、さも悪魔が実在し、悪魔が憑くのが事実であるかのように表現しちゃっていたのだ。この「エミリー・ローズ」もその手法を踏襲し、事実を歪曲している。女性弁護士のまわりで悪魔が近寄ってきたかのようなオカルト現象が起こっている様子を描写しているが、実際にはそのようなことは全くなかったのであるし、出廷予定の証人が怪死したという事実もない。それなのに、それらを実話だとして描いているこの映画は、悪魔の実在をプロパガンダする、一種の宗教的洗脳映画のようなものだ。陪審員を主人公にしないで、弁護士を主人公としたのがそもそもの誤りなのである。弁護士が神父の悪魔祓い行為を正当化しなきゃならないという視点で映画を作っちゃっていから、見ている者に対して、悪魔の実在を認めるように強引に誘導しているとしか思えない。実話だとウソぶいて、そのウソを根拠にオカルトを肯定するようにし向けるこの行為は、悪質な霊感商法のようなものだ。
 
この映画や「エクソシスト」に登場しているような悪魔ってのが仮に実在したとしても、その悪魔って、神の対極の存在なのに、やることが随分とセコいんじゃないか。わざわざ魔界からやってきたのに、憑依した人間をブリッジして歩かせたり、首が180度回ったり、体液を吐瀉させたり、わけのわからんことを言わせたり・・・。こんなことを人間にさせても意味ないじゃ〜ん。何のメリットがあるってんだぁ? 悪魔のくせに、敵対する神父をマバタキひとつで抹殺することさえできないんじゃないか。そんなガキのイタズラのようなセコいことしかできない悪魔が出てきても、みんなで指をさして笑い飛ばしてあげよう。
 
 
ちなみに、私もかつて「悪魔っ!」と呼ばれたことがある。
 
 
 
映画「エミリー・ローズ」
http://www.sonypictures.jp/movies/theexorcismofemilyrose/site/
 
 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索