映画嫌い (19)
2006年3月21日「シリアナ」っていう映画もサンプル版で見た。「肛門」を題材にした映画ではない(尻穴・・・って、おやじギャクでゴメンよ)。イスラム世界を扱った映画である。
冷戦終結後、湾岸戦争、同時多発テロ、イラク戦争を経験し、現在はイラン問題をかかえるアメリカにおいては、「イスラム」は何かとキーワードになっているのは言うまでもない。イスラム世界の真実を暴く!ってな内容の本がベストセラーになったり、その手のテレビ番組の視聴率も高い。その勢いにまかせて作っちゃったのがこの映画だ。しょ〜もない駄作である。
石油の利権をめぐる、企業合併、王族、CIA、アメリカ司法省、イスラム過激派のからみを表現したかったのであろう。マスコミが扱わない真実をスクープする気分で作っちゃったのだろう。ところが見事に失敗に終わっている映画だ。
各々のシーンがぶつ切りなのだ。シーンが飛ぶ飛ぶ、家も飛ぶ・・・ってな感じで、かなり散漫な映画だ。同時進行している複数のドラマが伏線にもなっていなくて、それらが一本の糸にまとまってもいない。ジグソー・パズルのばらばらのピースを見せられているだけのように感じる。そのジグソーを組立てるとダ・ヴインチの「最後の晩餐」の絵になるべきものを、各ピースの断片だけ見せられて、「この絵の構図はこんなに素晴らしいんだぞ、どうだすごいだろ!」と勝手に言われているようなものだ。そのピースの中には、無意味なシーンという全く無関係なピースも多く混じっているというおそまつさもある。たとえばパーティのプールで子供が死んじゃうシーン、あれってこの映画においては何の意味もないじゃないか。それでいて、説明不足のシーンも多々ある。シーンの構成も整理されていなくて、まるでシロウトが作ったような印象を受けるのだ。ここが見せ場だ!という特別なシーンもなく、つかみどころが全くない。この散漫さ、どこかで感じたことがあるぞ・・・と、デジャ・ヴのような気がしたんだけど、なんのことはない、前述の映画「ウェザー・マン」のノリなのである。あのタイプの、しょ〜もない映画がまた出てきちゃったんだ・・・と呆れてしまった。
無駄に登場人物を多くしている点も気になった。登場人物をもっと整理してこの映画におけるそれぞれの人物の役割をもっと明確にしなきゃダメだ。主人公が誰であるかも明確になっていないピンボケした状況になっているから、見ている側に何を伝えたいのかさっぱり見えてこない。
結論としては、結局のところ何を言いたい映画なのかさっぱりわからん映画である。見る価値なしシール5個。
★★★★★
満点、おめでとう!ぱちぱちぱち。
映画「シリアナ」
http://wwws.warnerbros.co.jp/syriana/
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