映画嫌い (59)
2006年5月24日本日は米国のアニメ「サウス・パーク 無修正映画版 (South Park - Bigger, Longer & Uncut)」である。
コロラド州サウス・パークに住む小学生のスタン、カイル、ケニー、カートマンの4人は、R指定のカナダ映画「テレンス&フィリップ 〜 燃えよ肛門 (Terrance & Phillip - Asses of Fire)」を見に行った。その映画で使われる下品なセリフの数々に影響され、彼らは下品な言葉を使いまくる。すると、彼らの親や教師はそれを問題視し、PTAは映画を製作したカナダに抗議する。そして遂にはアメリカとカナダが全面戦争に突入し・・・。
米国のケーブルテレビで放送されて爆発的な人気となったアニメ・シリーズの映画化ものである。日本ではWOWOWでこのシリーズが放送されていたが、「シンプソンズ」同様、いまひとつ人気が出ずに終わってしまった。
こ〜いうシンプルな線の丸顔の子供たちが出てくるアニメである。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/southp.jpg
こんなほのぼの系の顔の子供が主演なんだけれど、内容はアッシドなブラック・ジョーク系で、かなりお下劣だ。人種差別、性差別、性表現、戦争・犯罪肯定、名誉毀損、下ネタ、糞尿、血、ゲロは当たり前、セリフは下品で過激、子供がスプラッターに死ぬし、実在の有名人が登場してきて辛辣に諷刺されているし、特定の国や団体がバカにされている。よくもまぁこんなアニメが規制の厳しい米国で放送禁止にならなかったよなぁ〜ってな内容である。そんなものだから、米国では賛否両論で、激しく弾劾する人も多いし、熱狂的なファンも多い。日本でも状況はほぼ同じで、ハマる人と、嫌悪感を示す人、の両極端である。私も始めのうちはその下品さに嫌悪感を持って見ていたし、ミュージカル仕立てになっているのは鬱陶しいと思っていたが、内容は面白い。見終えた後の後味が悪くはないのだ。いくらアニメでもそんな表現をしちゃっていいのか?という禁断の世界を見ているような気分にもなる。アニメ「ジャングル黒べえ」が黒人差別だとして再放送されず、DVDやビデオでの発売もなかった日本において、黒人兵士を「人間の盾」にしちゃうこのアニメを放送していいんかい?と思いながらも、それをギャグとして味わっている自分が恐い。例えて言うならば、フランク・ザッパや、レジデンツや、サムラ・ママス・マンナの悪趣味でブラックで不条理な音楽にハマっちゃうというな、そ〜いう感覚なのである。
今回のこれに登場する有名人は、地獄でサタンとファックするサダム・フセイン、Windows98が動作不良を起こした為に処刑されるマイクロソフト社ビル・ゲイツ会長、公開処刑ショーの前座でピンポンショーを披露する女優ウィノナ・ライダー(「シザー・ハンズ」のヒロイン、「エイリアン 4」のアンドロイド姉ちゃん)、当時の大統領クリントン。その他には、セリフの中に名前が登場しておちょくられているのはバーバラ・ストライザンド、他、多数。
エロ・ネタにされたウィノナ・ライダーもかわいそうになぁ・・・。
アニメ「サウス・パーク 無修正映画版」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000BTCMHO/503-2551057-7627944
サウス・パーク公式HP
http://www.southparkstudios.com/
フランク・ザッパ
http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/frank-zappa-1.htm
ウィノナ・ライダー
http://www.02.246.ne.jp/~ftft/ryder.html
おまけ:
「サウス・パーク」でエイジアの「Heat of the Moments」が唄われるシーン
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/HeatOfTheMoment.mpg
ちなみに、「サウス・パーク」のシリーズの中には、「サイエントロジー」という宗教をおちょくった回があって、「サイエントロジー」の信者であるジョン・トラボルタ、トム・クルーズが諷刺されていた。その回の再放送・映画化に関して、「サイエントロジー」の武闘派を自称するトム・クルーズが中止を求める抗議行動をやっていたのだ。「サウス・パーク」の製作会社の親会社と、トム・クルーズ主演の「ミッション・インポッシブル 3」の製作会社が同じなので、トム・クルーズは、
「もしもあれを再放送したり映画化した場合は、ミッション・インポッシブル 3 のプロモーションには参加してやらんからねぇ〜だ!」
とダダをこねていたのだが、結局、アメリカとイギリスでは再放送を阻止できたけれど、他の国では再放送されたし、映画の試写もされちゃった。
ちなみに、「サイエントロジー」はヨーロッパ、特にフランスでは非常に評判が悪いカルトで、パリの名誉市民にトム・クルーズが候補に上がったことがあったが、「サイエントロジー」信者だという理由で彼は名誉市民になれなかった。
ジョン・トラボルタは「サイエントロジー」の教祖であるロン・ハバードが書いたSF小説を私財を投入して自ら映画化し、主演もしている。それが「バトルフィールド・アース」という最低な映画である。その年の最低映画を表彰する「ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)」にノミネートされ、7部門も受賞しているという、まさに腰くだけ映画の決定版である。
「サイエントロジー」の信者には彼らのようなハリウッド・スターが多いし、ミュージシャンの中にもチック・コリアなど信者が多い。「サイエントロジー」とその前身となるカルト「ダイアネティックス」については、マーティン・ガードナー著「奇妙な論理 I」(早川書房、市場泰男訳)が大変参考になるのでオススメ。
トム・クルーズ、「サウスパーク」のサイエントロジー・エピソードの再放送を阻止?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060524-00000015-flix-ent
http://www.gossip-news.com/news/2006/01/south_park_trap.html
http://abcdane.net/blog/archives/200603/spchef.html
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