映画嫌い (76)
2006年6月27日本日の映画は2002年の米国映画「死ぬまでにしたい10のこと (My Life without Me)」である。
主人公は大学の夜間清掃員の仕事をしている23才のアン。彼女は17才の初体験で妊娠して娘を出産。その時の相手のドンとできちゃった結婚をした。19才で次女を出産し、現在はアンの母親の家の裏庭にあるトレーラーハウスで、2人の娘と失業中のドンとの4人暮しをしている。
体調を崩したアンは病院で検査してもらったところ、医師から余命3ヶ月と診断された。
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卵巣ガンがいくつかの内臓にまで転移して手後れ状態だというのだ。アンはその事を誰にも告げず、ピンクのノートに「死ぬまでにしたい10のこと」を書き出してみた。
(1) 娘たちに毎日「愛している」と言う。
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(2) 娘たちの気に入る新しいママを見つける。
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(3) 娘たちが18才になるまで毎年贈る誕生日メッセージを録音する。
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(4) 家族でビーチに行く。
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(5) 好きなだけタバコとお酒を楽しむ。
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(6) 思っていることを話す。
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(7) 夫以外の男性と付き合ってみる。
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(8) 誰かが私と恋に落ちるように誘惑する。
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(9) 刑務所にいるパパに会いに行く。
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(10) 爪とへアースタイルを変える。
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そして、アンはさっそく実行に移し、娘たちへの誕生日のメッセージを録音し始めるのだった・・・。
この映画も「デス・ムービー」だ。「デス・ムービー」とは、昨日に書いたように、見る価値がない、ど〜でもいいような腐った映画を非難する、私が考えた用語だ。
上記のリストの(1)〜(4)は美しい家族愛ではあるが、(7)〜(8)はそれを裏切る行為であり、なんでそんな事をリストにあげたのか理解できないし、それを実行しちゃうアンにも絶対に同情できない。言いわけ無用だ。もうすぐ死ぬんだから浮気が許されるとか、死への恐怖を浮気で紛らわせるとでも思っているのだったら最低だ。そんな家族愛とは逆行する行為によって、映画のテーマとなるべき家族愛をブチ壊しているのだから、この映画がスカスカになってしまっているのは当然である。浮気のラブラブなシーンを見て、「身勝手なこの女、早く逝ってくれ!」と思ったのは私だけであるまい。浮気相手の気持ちを踏みにじるアンのエゴには吐き気がする。それに、そのシーンで乳首さえ見せないのは何なんだよぉ、見せても減るもんぢゃあるまいし。
また、(9)を実行するシーンはあるが、(4)、(5)のシーンがなくて、(10)にあるヘアースタイルも変えずに終わっている。結局のところ、それらの10項目ってのも気まぐれなその場の思いつきにすぎず、残りの人生の指針ではなかったんだろうね。そんなものだから、邦題の「死ぬまでにしたい10のこと」っていうのが企画倒れ的に虚しくなる。末期ガンの患者がこの映画を見ても、残りの人生における何のヒントも得られないだろう。原題の「私なしでの私の人生」ってのも内容とミスマッチだ。
ってな事で、ストーリー性が低くて貧弱で、どの登場人物にも魅力がないし、この映画っていったい何を言いたいのかわからない。ヤマなし・意味なし・オチなしなのである。腐っとるぞぉ〜。
ところで、アンの母親である疲れた老女を演じているのが、なんと、デボラ・ハリーなのである。1970年代の終わりくらいから1980年代に活動していたバンド「ブロンディ」のボーカルだった女性だ。あのダルい歌い方は好きになれなかったけれど、良いメロディの曲が結構あったよなぁ。当時のデボラ・ハリーはセクシー系として人気がかなり高かったし、そのセクシーさを売りにして、その手の役で「ビデオドローム」などの映画にも出ていたのだが・・・・、そのままフケて、バーさん顔になってしまったのが恐い。こんなんなっちゃったぁ・・・。
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年月の流れとは残酷なものだなぁ。1945年生まれだから、今年で61歳かぁ。
この映画のデス・ムービー度は、レベル2である。
★★☆☆☆
映画「死ぬまでにしたい10のこと」
http://www.shinumade10.jp/main.html
ブロンディ
http://www.blondie.net/index.shtml
http://www.din.or.jp/~ah-san/blondie.html
http://page.freett.com/sundaygirl/intro.html
http://www.creativeman.co.jp/060106pages/blondie.html
ちなみに、このデボラ・ハリーのソロ・アルバム
http://www.hrgiger.com/music/kookoo.htm
のジャケットのデザインは、H・R・ギーガーである。
ギーガーは映画「エイリアン」や「スピーシーズ」、「キラー・コンドーム」のキャラクターのデザインで有名なスイス人の画家だ。私は彼の画集本を何冊か持っているんだけど、彼の独特の画風である鋼鉄のヒンヤリとした質感と肉塊のヌペーっとしたエロス感との融合ってのは凄く面白い。強烈な個性の画風だよなぁ。
ギーガーの顔も個性的で、一度見たら忘れられない顔だと思うのは私だけであるまい。
彼は、エマーソン・レイク&パーマの「恐怖の頭脳改革」
http://www.hrgiger.com/music/emerson.htm
などのレコード・ジャケットの製作でも定評があるんだけど、個性が強すぎる絵だから、彼の絵を使う側も大変じゃないかなぁ。
http://www.hrgiger.com/music/covers.htm
彼がキャラクター・デザインをした「ダーク・シード」ってゲームがあったけど、あれはつまらなかったよなぁ。ギーガーの暗黒な世界観がさっぱり反映されていないんだもの。
http://genli.hp.infoseek.co.jp/game/dark.htm
ところで、東南アジアの国に行くと、街中の露店でこんな売り物が並んでいる風景をよく見かけるのだが、こ〜いうのを見て、ギーガーの画風を思い出すのは私だけであるまい。
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ちなみに、映画「エイリアン」に出てくるエイリアンの卵って、天頂部がパックリと十文字に割れて、その中からエイリアンの幼生体が出てくるようになっていたが、ギーガーが製作していたオリジナルのデザインでは、その卵の割れは十文字ではなく、縦一文字だった。その縦スジってのがまるで女性器のような形状で、それがパックリと開いて幼生体が出てくるっていうシーンはマズイんぢゃないのぉ?ってなことで、「エイリアン」が上映禁止や放送禁止になってしまうことを恐れ、急遽、卵の割れを十文字に変更したそうだ。オリジナルの縦スジの卵の絵は彼の画集本の中で見られる。
H・R・ギーガーのオフィーシャル・サイト
http://www.hrgiger.com/
http://giger.com/
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