映画嫌い (93)

2006年9月21日
 
本日のデス映画は2003年の「ニュースの天才 (Shattered Glass)」である。1998年の実話を元にした映画だ。
 
主人公は米国の雑誌「ザ・ニュー・パブリック」の記者のスティーヴン・グラスだ。
「ザ・ニュー・パブリック」誌は米国の政財界では最も権威のある雑誌で、大統領専用機内に唯一設置されている雑誌として知られている。スティーヴンは政財界のゴシップ的なスクープを同誌に掲載し、スター記者としてその名を知られるようになってきたのであった。彼は真面目でユーモアのセンスもあり、編集部内での信頼も厚かった。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/shatteredglass1.jpg
1998年5月、彼が取材して誌上に発表された「ハッカー天国」という記事に、ライバルの「フォーブス」誌ネット版の記者、アダム・ペネンバーグが噛み付いた。「ハッカー天国」の記事の中では、ハッカーたちのパーティにスティーヴが参加し、ハッカーから攻撃を受けている企業とハッカーの裏取引きの様子をスクープしたものであったが、その記事の中に登場している固有名詞の徹底的な検証を「フォーブス」編集部が行なったところ、実在しない企業名、個人名が満載だったのだ。そして、「ハッカー天国」の内容に対して捏造疑惑が浮上し、スティーヴンが追い詰められる。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/shatteredglass2.jpg
「ハッカー天国」はスティーヴンによるでっちあげ記事だったのか?
ハッカーたちがスティーヴンをハメたのか?
捏造疑惑の真相とは・・・?
 
果てしなくデスな映画である。
1998年のこのスキャンダル事件は私もその当時から知っていた。あの当時は、ネット上には根拠のない憶測や無責任なガセ情報を掲載するサイトが乱立しており、ネット上の情報の信頼性の低さが危惧されていた。その状況下で「フォーブス」ネット版が権威のある「ザ・ニュー・パブリック」誌の捏造スキャンダルを暴露したというこの件は、ネットの情報の信頼性に一石を投じ、ネット・ジャーナリズムの成功として支持されたのだった。
しかしながら、この件を映画化するってのにはかなりの無理がある。それなりに有名な件ではあるが、だからと言って映画になるような出来事ではないのだ。追い詰められるスティーヴンの様子を克明に描写するでもなく、追い詰める「フォーブス」側の執拗な追跡調査を主眼にするのでもなく、予想通り、内容がスカスカなガラクタ映画に仕上がってしまっている。
結局のところ、「ハッカー天国」はスティーヴンによる捏造記事であることが判明し、彼は「ザ・ニュー・パブリック」を解雇され、彼がそれ以前に書いた記事についても数々の捏造があったと明らかになるのだが、この映画では、なぜにスティーヴンが記事を捏造するまでに至ったのか、その動機や心理状態が何ひとつ描かれていないのだ。だから、事の経緯、真相が究明されている映画ではない。なぜなんだ?と見ている者に勝手に想像でもしろと言うのか?
まさに欠陥映画である。このような映画は絶対に見てはいけない。見るのは人生の貴重な時間の無駄である。
映画を見る行為がなんて不毛な事なのか!と再認識させられた最低な映画であった。
 
この映画のデス度は星5個、満点。恥を知れ!
★★★★★
 
 
映画「ニュースの天才」
http://www.gaga.ne.jp/news-tensai/
http://us.imdb.com/title/tt0323944/
 
 

 
「ニュースの天才」だなんていう邦題もミスマッチはなはだしい。なんでこんな邦題を付けてしまうのだろうか? スティーヴンが「天才」だとても言うのかぁ? スティーヴンにしても、アダムにしても「天才」なんかではないだろ。誰ひとりとして「天才」なんかこの映画には出ていないってば。この邦題も一種の「捏造」だ。
この邦題を付けた担当者はこの仕事には向いていないから、早いところ転職して、新たな仕事で新たな人生を歩んだほうが良いだろう。
 
ちなみに、この映画のプロデュースには、あのトム・クルーズが関わっている。最低だな!
 

 

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