映画嫌い (151)
2007年2月14日今回のデス映画は2005年のフランス映画「ナイト・オブ・ザ・スカイ (Les Chevaliers du Ciel)」である。フランスを舞台にした戦闘機もの映画だ。撮影にはフランス空軍の全面的な協力があったんだろうなぁ。
フランスの某所で行なわれている航空ショー。多くの航空ファンに紛れて武器商人たちが商談をする姿がそこにあった。フランスが誇る戦闘機「ミラージュ 2000」が一機、デモ飛行の為に離陸したが、そのミラージュはそのまま彼方へ逃亡してしまったのだった。何者かがミラージュを盗んだのか?
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その時に上空で飛行訓練をしていた2機のフランス空軍の戦闘機・ミラージュに命令が下り、逃亡したミラージュを追跡する。
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空軍のミラージュを操縦しているのは、マルチェリ大尉とヴァロア大尉だ。二人は逃亡中のミラージュを発見して接近し、投降を指示するが、逃亡機は指示に従わず、ヴァロアの機を煽る。
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マルチェリは指令部に攻撃許可を求めたところ、許可はでずに追跡中止と帰還の命令が下る。その時、ヴァロアの機に向かって逃亡機がミサイルを発射しようとして、逃亡機のミサイルが点火状態となる。その瞬間にマルチェリの機は逃亡機を機関銃で打ち抜く。
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逃亡機はバラバラに空中分解して海の上に落ちて行くのだった。逃亡機からミサイルは発射されず、間一髪のところでヴァロアの機は助かった。
空軍基地へ戻った二人は、帰還命令に従わず、攻撃許可もないのに攻撃したということで軍法会議にかけられる。フランス大統領直属の秘密組織「特殊任務飛行隊」の幹部は「あの逃亡機はフランスの防空体制の脆弱性のテストを行なう為に特殊任務飛行隊が仕組んだものだ」と証言する。元空軍のベテランのパイロットであるバルト少佐が特殊任務飛行隊に協力して逃亡機を操縦し、空軍の防空能力を試す抜き打ちテストだったのだ。だから、逃亡機に接近できた時点で二人に帰還命令が出たのだと。あやうくミサイル攻撃を受けるところだったヴァロアも、逃亡機を銃撃したマルチェリもそれには納得がいかなかった。逃亡機のミサイルは点火状態となっていて、ヴァロアの機に向けて発射する寸前だったのだから。結局、マルチェリもヴァロアも空軍を退役することになってしまう。
マルチェリもヴァロアも大空への夢を捨てきれずに悶々とした日々を過ごす。そんな所へ特殊任務飛行隊の担当官が現れた。二人の機の航空データを解析したところ、逃亡機は確かにミサイルに点火しており、間一髪のタイミングで銃撃したマルチェリの神ワザのような判断力と技術を高く評価した。逃亡機を操縦していたのはバルト少佐ではなく、テロ組織の一味だった可能性が高いと言う。そして、二人の名誉回復・空軍復帰との交換条件で、二人には特殊任務飛行隊への協力が要請される。
その任務とは・・・。
米国とフランスは互いに自国の戦闘機の拡販をもくろみ、米国の戦闘機・F-16と、それと競合するフランスの戦闘機・ミラージュが、その優劣を比較するレースを極秘で行なうことになったので、二人がそのレースに参加してミラージュを操縦するというものだった。スペインの米軍基地を飛び立ったF-16と、南フランスのフランス空軍基地を飛び立ったミラージュが、数回の空中給油を受けながら、スエズ運河に近いアフリカ東岸までの6600kmを飛行する。そこにあるターゲットの写真を先に衛星に送ったほうが勝ちだ。その上空を通過する国々への事前通告も了承もないままに行なわれるレースだ。
そして、そのレースが開始されるが・・・。
ミラージュが大空を超音速で飛ぶ映像は凄い。この手の戦闘機もの映画では米国映画「トップ・ガン」なんかが過去にあったけど、リアリティ、臨場感、映像美はこちらのほうが比較にならないほど素晴らしい。青空やアルプスをバックに飛行する機体はめちゃくちゃ美しいし、その説得力はたいしたものだ。トレ・ビア〜ン!である。メルシィ〜・ボク〜ゥ!
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ところが、ムッシュ、シル・ヴ・プレ! このくだらないストーリーは何なんだよぉ、ケ・ス・ク・セ? あれだけの凄い飛行映像を見せておきながら、それでいてこんなバカバカしいストーリーって、何を考えて作った映画なんだろうねぇ? 結局、レースもリタイアしちゃって、レースなんがどうでもいいストーリーになっちゃっているんだもの。それで、武器商人、テロ国家、スパイ、・・・の方向にストーリーが向かっちゃうし、マルチェリもあの女性と仲良くなっちゃうし、最後にはあの人物とあの人物が殺されちゃうし、あの人物は逃亡しちゃったままになっちゃうし・・・、ったくもぉ〜、バカもいいかげんにせ〜ぇよ!
ってことで、この映画はフランス空軍のプロモーション・フィルムだと思って飛行シーンだけを見よう。ストーリーは無視だ。セ・ラ・ヴィ。
映画「ナイト・オブ・ザ・スカイ」
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD8409/
この映画の舞台になっているのは南フランスのオランジュ空軍基地(Base Aerienne d’Orange)である。柑橘系の香りのする名称だ。
私はこの基地を見学させてもらったことがある。日本の米軍基地でも同様なものがあるけれど、オランジュ空軍基地でも基地内を一般公開する「ふれあい祭り」のような企画があって、その時に見学させてもらったのだ。その時には、この映画にも出てくるミラージュという最先端の戦闘機のコックピットにも座らせてもらった。かなり狭い座席で、回りが電子機器だらけだった。
で、案内してくれたフランス空軍の人が、私が日本人だとわかると、その説明の言葉のなかに、やたらとアメリカのF-16に対するミラージュの優秀さを比較強調する意味を込めだした。F-16へのかなりの対抗意識があるのは事実だろう。
でも、そんなにミラージュがいかに素晴らしいかを一般人の私なんかに言っても、日本の自衛隊はF-16をミラージュにリプレイスするわけがないだろうにぃ。
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