映画嫌い (159)
2007年3月11日本日のバカ映画は2006年の米国映画「マリー・アントワネット (Marie Antoinette)」である。これも既に日本で劇場公開済みだな。
1768年、オーストリア皇帝の末娘・マリーは政略結婚でフランスの皇太子・ルイ・オーギュストへ嫁いだ。マリーは不馴れなフランス王族の風習に戸惑い、ベルサイユ宮殿でのうんざりする日々が続く。
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愛情のない夫婦生活、子供ができないプレッシャー、国王の愛人との確執、まわりからの悪意に満ちた陰口・・・。マリーは深く傷付き、そして、マリーは酒とスィーツ、豪華なドレスや贅沢なパーティーに心の安らぎを求めるようになる。
そんな時に国王が崩御し、皇太子が王位を継承してルイ16世となった。
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王妃となったマリーはついに娘を出産し、その後には息子も生まれる。ところが王族の財政状態は次第に厳しいものとなっていくのだった。重税と食糧難に陥った民衆が、パリのバスチーユ監獄を襲撃したとの報告が入る。そして蜂起した民衆がベルサイユ宮殿を囲む。フランス革命だ・・・。
史実もマリー・アントワネットの生涯も描ききれていないバカ映画である。たいしたストーリーもないまま、だらだらと2時間弱もやっている。こんな映画より、「世界・ふしぎ発見!」や歴史スペシャルもののテレビ番組のほうが史実をちゃんと伝えているだろう。西洋史に残る屈指の悪女であるマリー・アントワネットの、その悪女ぶりはほとんど描かれておらず、疎外される女性としての見地で描かれている。フランス革命の勃発で、馬車に乗ってベルサイユ宮殿から逃亡するシーンでこの映画はおしまいだ。その後の逃亡劇とか、革命政府によってギロチンで公開処刑される事にも触れられていない。まさに欠陥映画だ。いったいこの映画は何を言いたかったのか、何を見せたかったのか、さっぱりわからんよ。
でさぁ〜、素朴な疑問なんだけど、オーストリアの宮殿の中でも、フランスのベルサイユ宮殿の中でも、なんで全員が英語で会話してるわけ?? 当時のフランスもオーストリアも公用語は英語だったってかぁ?? それも、18世紀の当時の英語じゃなくて、「Fucking Dog!」ってな事まで言う、20〜21世紀の英語じゃないか。18世紀のフランスで、「Hello」だなんて、20世紀になって電話の普及によって登場する英語で挨拶をするんじゃない!
結婚式に署名する文書まで英語で書いてあるってのは何なんだろうねえ?
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会話の中に20世紀後半の英語のスラングなんかもたくさん出てくる。はちゃめちゃな時代考証だな。見ていると頭がクラクラしてくる。アントワネット(Antoinette)、ルイ(Louis)などの名前だけはフランス語発音しているけれど、パリ(Paris)のことを英語発音で「パリス」って言うフランス人なんていないってば。
舞台となっているのはベルサイユ宮殿で、本物のベルサイユ宮殿でロケをやっている。ベルサイユ宮殿には私も観光で行ったことがあるから、見たことのある風景がたくさん映し出されているのは懐かしい気分になる。しかし、18世紀のあの時代にはベルサイユ宮殿にあるはずのなかった物や、当時にはまだなかった風習などが、映画のシーンの中にいくつも登場しているのだ。マヌケすぎるほどに時代がズレまくっている。オーパーツという言葉が頭の中をよぎるのは私だけであるまい。まるで江戸時代の江戸城の将軍の部屋の中に液晶テレビや携帯電話があるようなものだ。バカ丸出しである。当時のフランスの事情を調査・勉強もせずにこの映画を作っちゃったんだろうなぁ。まちがい探しゲームの気分でこの映画を見てしまった。
たとえば、結婚式のシーンでは、宮殿のオーケストラの演奏で踊っているんだけど、オーケストラの前で指揮者が指揮棒を振っているのだ。
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オーケストラに指揮者が付くってのは20世紀になってからの習慣であって、当時にそのような役目などは存在しなかったのである。宮廷でのオペラ鑑賞会のシーンにもオーケストラに指揮者がいるしなぁ・・・。
結婚式の夜には宮殿でこんな花火大会があるんだけど、
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当時の欧米にはこのような花火を制作する技術なんかなかった。その技術を持っていたのは日本だけで、日本はその技術の輸出をしていなかった。20世紀になってから日本からその技術が伝わったものだ。
これの一番手前にあるくるくると噴射で回転する花火なんかも
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20世紀になって日本で考案されたものだ。
マリー・アントワネットの靴のコレクションの中に、当時にあるはずのないバスケット・シューズまで映っているのもマヌケだ。
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ちなみにこのシーンで映っているストッキングもダメだな。このような縫い目のない立体加工のタイプが開発されたのは1960年代だぞ。
食事のシーンでナイフとフォークを使っているのもヘンだ。当時にそんなものを使う習慣もまだなかった。
更には、こんなシーンもあるしなぁ。
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ハチャメチャである。これってわざとやってんのかなぁ?
その他に私は20ケ所以上も誤りを見つけてしまったもの。
フランスの歴史や文化に詳しい人が注意深く見ると、もっといろいろと見つかるんだろうなぁ。
その他にも随分とヘンテコなシーンがある。
たとえば、マリー・アントワネットが結婚したのは彼女が14歳の時だったんだけどぉ、どう見ても、この結婚式のシーンは14歳(中学2年生)の姿じゃないよな。
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ってことで、ちょ〜・ヘンテコな映画なので、こんな映画は無視しようぜ。
ちなみに、この映画の監督はソフィア・コッポラだ。フランシス・F・コッポラの娘である。以前には「ロスト・イン・トランスレーション」っていうバカ映画を作っていたバカ娘だ。
http://diarynote.jp/d/28044/20070110.html
またしてもこんなバカ映画を作っちゃうとは、親子だねぇ・・・。
映画「マリー・アントワネット」
http://www.ma-movie.jp/
http://www.imdb.com/title/tt0422720/
オーパーツ
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9567/008.html
どうでもいいことなんだけど、前述の映画「ナイト・ミュージアム」の中で、ミニチュア人形のローマ皇帝・オクタビウスを演じていた人が、この映画の中にも登場しているのを見つけてしまった。この人、歴史もの専用の役者なんだろうか?
http://www.imdb.com/name/nm0176869/
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