訃報嫌い
2007年3月25日アメリカのロック・バンド「ボストン (Boston)」のボーカリスト、ブラッド・デルプ(Brad Delp)も逝ってしまった。いいボーカリストだったよなぁ。
生前の彼が熱唱する姿をここで見られる。
http://www.youtube.com/watch?v=IupCuQXWtE8
http://www.youtube.com/watch?v=Km0mL-zvJGY
http://www.youtube.com/watch?v=AYOsZE2z9Pw
アメリカの音楽にはほとんど興味がない私だけれど、ザッパ(Frank Zappa)なんかと並んで、ボストンは例外で大好きだった。そのバンド名の通り、ボストン在住のバンドである。
私がボストン市内にある某大学に留学していた時の話である。
あの頃はバンドのボストンのほうは活動を休止していたので、ボストンでライブをやっているボストンの姿を見ることはできなかった。そんなもので、私の帰国間際になって、せめてボストンが録音しているスタジオの外観だけでも見ておきたいよなぁと思って、ボストンのスタジオがどこにあるのかを調査してみたところ、すぐに判明しちゃったのだ。ボストンの郊外に、リーダーのトム・ショルツ(Tom Scholz)の家があって、その家の内部にスタジオが作られていてるらしい。トムの家の場所もすぐに判明した。ってなわけで、帰国寸前の日曜日に、ハイキング気分で、トムの家の外観を見に行ってみた。
普通の家だった。路上からしばらく遠巻きにその家を見ていると、ガレージからデカい男が出てきた。あぁビックリした。身長が2メートルくらいあるんだもの、宇宙人かと思ったじゃないか。その巨大男こそ、トムだったのだ。本人を見かけるとは思っていなかった。私はトムに手を振って呼びかけてみた。するとトムが私のほうへ歩いてくるじゃないか。デカいぞ。かなりデカい。遠くにいる姿を見てもデカいのがよくわかったけれど、実際に目の前に来ると、そのデカさがすごい。デカいのは身長だけじゃなくて、手も足もデカい。まるで全身が拡大コピーだ。「日本からボストンに留学しに来ていて、ボストンのファンで、・・・」ってな私の事情を話しながらトムと握手をした。その手がデカい。よくもそのデカい手で標準サイズのギターを弾けるよなぁ。身長174cmの私だから、おもいっきりトムを見上げる体勢になる。まるでオトナと子供である。トムはとってもフレンドリーなオヤジだった。それで、トムは快く私を家の中に案内してくれて、スタジオも見学させてもらった。面白いものがいろいろとあったんだけど、その件については今回は語らない。ちなみに、トムは私の通っていた同じ大学の出身であり、学科は違っているけれど、私はトムの後輩にあたる。
その後、トムの誘いで、裏にある空き地で、彼の仲間たちと草野球をすることになっちゃった。近所の住人たちも次々に集まって、誰かがビールのケースを大量に持ってきて、みんなで瓶ビールをラッパ飲みしながら、わいわいと野球を楽しむ、そ〜いうよくある日曜の風景になっちゃったのだ。野球なんかわかっちゃいない私だけれど、大きなミスもなく、まったりと進行する。そして、私がバッターの番となった。その時になって、相手チームのピッチャーが交代になり、飛び入りのように登場したピッチャーは黒くて長い髪がボサボサで髭をたくわえた、まるでホームレスのような姿の男だった。
後でトムに紹介してもらって、めちゃくちゃ焦った。その男こそ、ボストンのシンガー、ブラッドだったのだ。あの時、瓶ビールを片手に、ブラッドと一緒にボストンの曲「Hitch a Ride」を歌ったのが今となっては想い出である。
ボストン
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/Boston/m_bio.html
Boston - "Hitch a Ride"
http://www.youtube.com/watch?v=gsAYjVe8lwA
で、ピッチャーのブラッドとバッターの私の対決は、見事に私の空振り三振だった。再対決できなくなったのが残念だ。
「More Than a Feeling」でもなく、「A Man I’ll Never Be」でもなく、なんで「Hitch a Ride」だったかって言うと、ビールで酔ってきた私の頭の中にその曲の「Carry me away for the last time」の部分が浮かんできたから。本人の前でその部分をちょっとだけ歌ったら、一緒にまるごと一曲歌ってくれたのさ。
1947年3月10日生まれのトムは先日に60歳になったんだねぇ。
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