映画嫌い (240)

2008年2月25日
 

本日のクズ映画は2005年のロシア映画「太陽 (The Sun)」だ。

終戦直前の1945年の日本。戦局は圧倒的に日本に不利で、本土決戦も秒読み段階と言われる状況だ。昭和天皇の前で御前会議が開かれる。
シーンは急に飛んで、終戦直後の米国の占領下の日本。昭和天皇を乗せた米兵の車は廃虚となった東京を走り、昭和天皇は占領軍司令官・マッカーサーの元へ案内される。そして・・・。
 
 
天皇を主人公として描いているという異例中の異例の映画である。それも、終戦前後の昭和天皇であり、このような映画が作られたとは前代未聞である。その上に、驚いたことに、この映画はロシア人監督が描いているロシア映画なのである。スタッフのほとんどがロシア人だ。ロシア人の目からは日本の天皇がどのように見られているのか?という点は興味本位ではあるが気になるところだが、ロシア人から見た勘違された日本文化の表現というものが全くないのだ。我々日本人が見ても違和感が全くない。まるで日本人が描いたと言っても良いくらいの驚異のクォリティを持っている。相当な日本の研究をしたな。ハリウッド映画の奴らには絶対にこのような映画は作れまい。
 
昭和天皇を演じているのはイッセー尾形である。賛否両論あるだろうが、彼の演技はこの難しい役には適任じゃなかろうか? 彼は昭和天皇の口調や表情をかなり良く再現しているものだから、昭和天皇がひとりごとを言っているシーンを見ると、もしかして昭和天皇も本当にこんな感じでひとりごとを言っていたんじゃないか?とまで思えてしまうのだ。
 
ところが・・・である。この映画は大したストーリーもなく、昭和天皇の様子を、御前会議、マッカーサーとの面会、マッカーサーとの会食の席、科学者との対話、・・・などイベントで断片的に見せているだけなのである。物語としての起承転結がないのだ。めちゃくちゃ散漫である。歴史を見せているわけでもなければ(玉音放送のシーンも、人間宣言のシーンもありゃしない!)、昭和天皇の人間性を見せているわけでもなく、昭和天皇の苦悩や疎外感や屈辱を見せているわけでもない。この映画はいったい何を言いたかったのか、全く理解できないのだ。イッセー尾形のファンが彼のひとり芝居(あれはあれで凄く面白いんだけどね)を見てあげる延長の品にしかなっていない。そのような意味で、この映画はクズなのである。
 
 
映画「太陽」
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id324944/
 
 

 
 

 
 

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