映画嫌い (244)
2008年3月5日本日のクソ映画は2008年の米国映画「ジャンパー (Jumper)」である。脱力もののヘタレ映画である。今週の週末から日本でも劇場公開されるようだから、今後、この映画を見ようと思っている人は以下を読まないように。
何も取りえのない地味で平凡な15歳のディヴィッド・ライスが主人公だ。ディヴィッドが5歳の時に母親は家を出て、その後、父親とふたり暮しだ。ディヴィッドと父親の関係は険悪だった。学校ではライス・ボール(おにぎり)のアダ名でイジメられている。
ある冬の日、表面に氷の張った川をディヴィッドが歩いていると、氷が割れて氷の下に落ち、ディヴィッドは川に流されてしまう。氷の下で呼吸ができなくてもがいていると、ディヴィッドのいる場所が突然と街の図書館の中に移動していた。それがディヴィッドの初めてのテレポート(瞬間移動)の体験だった。それ以来、無意識のうちにディヴィッドはテレポートを繰り返すようになる。
ディヴィッドはその能力で何か新しい自分の人生がスタートするのではないかと思い、家出をして、テレポートをコントロールする訓練を重ねる。そして、思った所へ自由にテレポートすることができるようになると、ディヴィッドは銀行の地下金庫の中にテレポートし、大金を盗んでくるのだった。これで世界は彼のものになった。好きな所へテレポートし、好きな物を手に入れることができるのだ。
そして8年が経過した。成長したディヴィッドはニューヨークの高級マンションに住んでいた。
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ディヴィッドは気の向くままフィージーにテレポートしてサーフィンを楽しみ、エジプトのスフィンクスの頭の上にテレポートしてそこでランチを食べたり・・・。
ある日、ディヴィッドがマンションの自室に帰ると、そこにはローランドという白髪の黒人がいた。
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ローランドはディヴィッドのテレポート能力も、ディヴィッドが銀行の金庫にテレポートして金を盗んだ事も知っていたのだ。ローランドはディヴィッドを襲う。電気ショックを与えるスタンガンのような仕掛けが先に付いている杖でディヴィッドを攻撃する。電気ショックを受けるとテレポートできなくなるのだ。ディヴィッドは何度も電気ショックを受けながらも、なんとかテレポートしてその場から逃れた。それ以降、ローランドは執拗にディヴィッドを追う。
逃亡しようと思ったディヴィッドは故郷の街に帰り、かつての同級生だったガールフレンドのミリーを旅行に誘う。
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事情を知らないままミリーはディヴィッドに同行してイタリアのローマへ。ふたりはローマ旅行を満喫する。
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ローマのコロッセオ(コロシアム)を観光している時、ディヴィッドがひとりになると、そこに同じテレポート能力を持った青年、グリフィンが現われてディヴィッドに声をかけてきた。ちょうどその時、ローランドの仲間の刺客も現われた。ディヴィッドとグリフィンのふたりは、奴らの攻撃をかわしながら逃げる。グリフィンが言うには、奴らはテレポート能力を持った人間「ジャンパー」を狩っている「パーデンツ(パラディン)」という組織の人間らしい。
ディヴィッドとグリフィンは仲間割れをしながらもパラディンの執拗な追跡を逃れるが、パラディンはミリーを狙ってきた。ディヴィッドはミリーを助ける為に、奴らの「ジャンパー狩り」に対抗して、「パラディン狩り」をしようとする。そしてジャンパーとパラディンの対決が・・・。
(中略)
ディヴィッドはローランドを引き連れて脱出不可能な場所にテレポートする。そしてその場にローランドを置き去りにしてディヴィッドだけがテレポートして戻ってきた。これで勝負はついたのだった。呆然とするローランド。戦いは終わった。
その後、ディヴィッドは母親が暮らしている家を探し出して訪問する。そしてある事実を母親から知らされるのだった。そして母親はディヴィッドを抱きしめる。
その家を出たディヴィッドはミリーの手を握ってどこかに一緒にテレポートするのだった。
おしまい。
つまらんねぇ。薄いねぇ。ヘタレだねぇ。映画「スパイダーマン」に似たテイストがするアホらしいだけのクソ映画なのだ。
まず、なぜに「パラディン」なる組織が「ジャンパー狩り」をやっているのか何ら説明がない。それに、なんでグリフィンがパラディンの情報を持っていたのかも不明だ。更には、パラディンがどうやってディヴィッドの事をジャンパーだと見抜いて発見できたのかも説明されていない。また、パラディンがジャンパー本人だけではなく、家族や友人・知人まで手にかけている理由も説明なし。そのような合理的な説明のない箇所が多いので、めちゃくちゃ薄く感じるのだ。パラディンの非道さの表現も不足しているから、ちゃんちゃらおかしいぞぉ。パラディンの使う武器もあれじゃセコいよなぁ。
ジャンパーとパラディンの対決のシーンも薄いねぇ。全く盛り上がらすに萎んじゃっているもの。前半の対決のハイライトはローマのコロッセオでのシーンで、世界遺産のこの場での撮影にはかなり苦労しただろうに、対決の見せ方が全然なっておらん。最後の対決シーンでは、やたらとあちこちに短い間隔でテレポートするのを繰り返すものだから、もぅゴチャゴチャになっているのである。暴走のしすぎで見ていると頭がクラクラしてくるぞ。それに、パラディンとの対決のシーンよりも、ディヴィッドとグリフィンの仲間割れでテレポートしまくるシーンのほうが面白いじゃないか。あぁ〜、アホくさぁ〜!
ちなみに、ディヴィッドとグリフィンのふたりはテレポートして東京にもやってきて、渋谷駅前のシーンなんかもあるんだけれど、あれもなんだかなぁ?
それにしても邪魔なのがミリーだ。このような映画で色恋事なんか見たいとは思わないぞ。そんなの見せてもしょうがないじゃないか。色恋事を映画で見たい奴はこの映画じゃなくて「マイ・ブルーベリー・ナイツ」を見に行くだろ。それなのに、ディヴィッドとミリーの関係がストーリーの基幹にあるものだから、もぅ、ミリーが邪魔で邪魔で、見ているとイライラしてくる。「スパイダーマン」におけるヒロイン・MJに対してのあれ同様に、ヒロインに対してのささやかなる殺意が芽生えてくるような気がするのは私だけであるまい。
でさぁ、ラストはディヴィッドが母親を訪問するシーンでしょ。母親もジャンパーで、遺伝してディヴィッドもジャンパーだったんじゃないの?とか、母親が家出したのはパラディンからの逃亡かね?と予想していたんだけど、これはハズレだった。ここだけがちょっとしたサプライズ。でも、とほほなサプライズだな。だって、実は母親はパラディンだったのだ!というシラけるオチなんだもの。5歳の時のディヴィッドがテレポートしたのを見て驚愕した母親は、ディヴィッドを殺すか、あるいはディヴィッドを捨てるしかなかった・・・という事情だったのだ。とほほ。
でも、これって矛盾してないかなぁ? ディヴィッドがローマで警察に拘束された時、ディヴィッドの前に母親が現われて逃亡を指示しているじゃないか。まさか母親は飛行機でローマに行って、警備の目を盗んで警察の中に侵入したわけじゃなかろう。母親自身もジャンパーじゃないのかねぇ? パラディンの中にジャンパーがいてもいいのかねぇ? まるでバードウォッチングの会に鳥が入会しているようなものだよなぁと思うのは私だけであるまい。母親もジャンパーだという私の予想は当たっていたわけだな。
もしかしてこの映画も続編が作られるのかなぁ? パラディンとの新たな戦いが始まる!ってな内容で続編が作れそうな終わり方なんだもの。
ってことで、こんなヘタレな映画は絶対に見るんじゃないよ!
映画「ジャンパー」
http://movies.foxjapan.com/jumper/
http://www.imdb.com/title/tt0489099/
テレポートするたびに、ドサッと落ちる音がするのも極めて不快だ。まるで中身の入った死体袋を高さ2メートルから落としたような音なんだもの。
ちなみに、若き日のミリーを演じていたのは、前述の映画「テラビシアにかける橋」にレズリーの役で死んでいたアンナソフィア・ロブ(現在14才)だね。
それでさぁ、結局は主人公のこいつは悪人なんだもの。銀行から泥棒するような最低な輩なのに、なんでそれを知ったミリーはこいつに見切りをつけないんだ? 母親もなんでこいつを叱咤しないんだ? こいつらみんな、人間のクズだな。
当会はこいつらを抹殺するパラディンを応援する。
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