映画嫌い (256)
2008年4月4日聞いた人が自殺しちゃうってことで放送禁止になったシャンソンがある。ルッツォ・スレスが作曲して、1931年に発表された『暗い日曜日』という曲がそれだ。歌っているのはダミアという歌手だった。その曲を聞いた人が次々に自殺して、その数は100人を超え、遂には1933年に英国BBCなどのいくつかの放送局がこの曲の放送を全面的に禁止した。第二次世界大戦を予言した曲だとも言われている・・・・という有名な都市伝説がある。
ちなみに、その曲は実在しているが、その曲で本当に自殺者が出たのか、それを証明するものは何ひとつ残っていない。イギリスとハンガリーで放送禁止に指定されたのも事実であるが、放送禁止の理由は自殺者が出た為ではない。また、歌詞の内容は第二次世界大戦とは何も関係がない。だから、この件は歴史的な事実ではない。ゆえに、都市伝説だと言われているのだ。ロシア革命を予言したと書いてあるバカな本もある。ロシア革命は1931年よりずっと前に終わってるじゃん、バ〜カ!
その都市伝説をベースにデッチあげられた失笑の邦画が、2007年の「伝染歌」である。秋本康の同名小説の映画化である。秋本康のアホ小説なんか映画にするなよなぁ。秋本康はこの映画に企画者としても参加している。
あまりにもバカらしいので、ストーリーは略。これがまたしょーもないクソ映画なのだ。「伝染歌」ってなタイトルなのに、歌によって何も伝染していないし、歌そのものも伝染していないという、全くな企画倒れなタイトルだ。『暗い日曜日』の件を持ち出していながらも、勝手にそれを「自殺を伝染させる歌」ってことにしちゃっているのがマヌケであるし、女子高生が自殺したのを何の根拠もなく「伝染歌」が原因だと特定して取材している雑誌記者もバカだ。そもそも、ストーリーがちゃんとつながっていないじゃないか。「伝染歌」の表現が不足しているし、同級生に自殺者が出た事の震撼さ、死体を発見した衝撃度がまるで出ていない。だから全然、リアル感がないのだ。
そのように、ストーリーが荒唐無稽で矛盾していて、脚本がシロート丸出しのクズなだけじゃないのがこの映画の呆れた所だ。役者がしょうもないダイコンだらけなのである。カメラワークに無駄な動きが多すぎるし、構図も悪い。音声録音も悪いからちゃんとセリフが聞き取れない部分が多い。ボキャブラの乏しい選曲もミスだらけで、使っている音楽が映像に全くマッチしていないのも興醒めだ。それに編集も酷くザツだなぁ。特撮もCGも子供騙しのチープさで失笑だ。何もかもが三流以下で、まるでシロートが作ったような映画なのだ。ろくに仕事ができない無能者たちがプロを気取ってアホ小説を映画化しちゃうとこんな悲惨な結果になっちゃうんだぞぉ・・・という見本だな。
このシロート丸出しのバカ・スタイル、どこかで見たことがあるな・・・と思っていたら、ビンゴ。監督はあの原田眞人だ。なるほど、あの日本一の無能監督が撮った映画だからこんなになっちゃってるんだ。原作の選択ミス、監督の人選ミス、スタッフの無能ぶり、これらが重なった結果がコレなんだねぇ。思慮分別があるべきオトナがこんな映画を作るなよ。お前ら、それでもプロか?
無駄なシーンでの時間稼ぎも醜悪だな。中身が薄くて、実質的には30分ものドラマのような内容しかないんだけれど、無駄なシーンを大量に付けて、無駄なリフレインをやらかしているシーンまでもあって、2時間もある長い映画になっている。その無駄なシーンが実にくだらない。見ていると飽きてくるぞ。ストーリーとは無関係な秋葉原でのオタク野郎たちのイベントなんか長々と見せるなよなぁ。女子高生のバカ生態を見せられてもしょうがないじゃないか。戦闘サバイバル・ゲームやってるシーンだってストーリーに無関係だろ。無意味な夢の中のシーンも無駄。散漫すぎる無駄なシーンばかりで、「伝染歌」とは無関係にストーリーが進んでしまい、途中で、何の映画だったのか?と忘れちゃうほどなの酷さなのだ。それで無理矢理と「伝染歌」にこじつけているのが見苦しいなぁ。そしてラストはCG合成した失笑のエセ・ファンタジーだ。バカバカしいったりゃありゃしない。
ヒロインを助ける陸って名前の雑誌記者の存在感が薄いねぇ。相棒の太一って名前の雑誌記者なんか、その存在も、臭い芝居も、胡散臭いセリフも、すべてにおいて邪魔以外の何者でもないなぁ。太一の出ているシーンは全部カットしろよ。その一方では、ホーラー映画のくせにオカルト度は低いし、サスペンス度もないし、何ってったって「恐〜いシーン」がひとつもないんだもの。何なんだろうねぇ、これ?
で、結局、この映画って、単に、秋本康が関わっている「AKB48」っていう女子高生グループの為の長い長いプロモーション・フィルムだったわけだよねぇ?
映画「伝染歌」
http://www.densen-uta.jp
ベースになっている『暗い日曜日』はこの映画の中では流れてきていない。その曲は全くの無関係と言ってよい。それで、関係のない曲『僕の花』が伝染歌として歌われているんだけど、その曲の出来もめちゃくちゃ悪いねぇ。歌っているのは五井通子だが、映画の中のシーンの音声では松本伊代が歌うバージョンで登場だ。松本伊代による歌のそのデス感は想像に難くないでしょ?
ちなみに、私は本物の『暗い日曜日』のテープを持っている。ど〜ってこともないチープなシャンソンだな。シャンソンって言っても、本物のフランス人のシャンソン関係者の曲じゃなくて、ハンガリー人がシャンソンを真似てるだけなんだけどね。この曲を私は何人かにダビングしてあげたことがあるが、それを聞いて自殺した者は誰もいない。病死者も事故死者もいない。み〜んなピンピンしているもの。ほ〜ら私だってこんなにピンピンだ。私のピンピン、見て見て!
そういえば、『暗い日曜日』にまつわる秘話の映画があったなぁ。
http://www.gaga.ne.jp/gloomysunday/
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