映画嫌い (262)
2008年4月19日本日のクソ映画は2007年のフランス&ドイツ&ベルギー&南アフリカ映画「マンデラの名もなき看守 (Goodbye Bafana)」だ。アパルトヘイト(人種差別政策)下の南アフリカ共和国で獄中生活を送っていたネルソン・マンデラの実話を映画化したものだ。来月の後半あたりから日本でも劇場公開されるらしい。
南アフリカ共和国政府による厳格なるアパルトヘイトに反対して、マンデラは非白人の自由と権利を求めて反政府運動をしていた。政府は彼を「最悪のテロリスト」として逮捕し、投獄する。その後、マンデラは27年間も獄中生活を送ることになる。
1968年、刑務所に勤務しているグレゴリーは、マンデラを担当する看守に抜擢された。グレゴリーは黒人たちの言葉がわかるので、マンデラの会話や手紙の監視を命じられたのだった。ところがグレゴリーは次第にマンデラの人間性に魅了されていく。囚人と看守の関係のふたりの間には22年間に渡る心の交流が・・・。
地味すぎて退屈な映画だ。後に、アパルトヘイトが撤回されて、マンデラも釈放され、遂には彼は南アフリカ初の黒人の大統領となるわけであるが、この映画では刑務所の中と看守の家族しか見せずにストーリーが進み、1980年代の南アフリカの激動の社会が何も描写されていないのである。その上、マンデラの心境も、グレゴリーの心境も、どちらも表現不足で、その結果、グレゴリーとその家族が民主主義に目覚めていく様子にも違和感を覚えてしまう。人間の心理描写も社会的背景の描写もヘタなんだよなぁ。
ネルソン・マンデラとスティーヴ・ビコは何かと反アパルトヘイトのヒーロー、象徴として祭り上げられているんだけど、彼らはそれほど功績のあった人だとは個人的には思えないんだよなぁ。マンデラは大統領にはなったが、彼の机上の空論的な政策は失敗だらけで、当時の国内の混乱は相当なものだったじゃないか。無論、アパルトヘイトなんていう醜悪な政策には私は反対するけれど、マンデラやビコを神格化すべきではないと思うぞ。以前にはビコを主人公にしたクソ映画もあったし、今回のこれはマンデラが仙人と化しているクソ映画だ。映画という興行に彼らの名前を利用するのはいかがなものかね?
映画「マンデラの名もなき看守」
http://mandela.gyao.jp/
ピーター・ゲイブリエルの曲にもスティーヴ・ビコの事を歌った「ビコ」っていうのがあったよねぇ。彼もスティーヴ・ビコのそれに感化されちゃったわけだ。彼のライブでのアンコールの最後の曲として今でも「ビコ」が定番となっちゃっているのがイヤだなぁ。
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