映画嫌い (279)

2008年6月4日
 
本日のクソ映画は2008年の米国映画「ラスベガスをぶっつぶせ」だ。原題は「21」で、これはトランプ・ゲームの「ブラックジャック」のカードのことだな。ベン・メズリック著の小説「Bringing Down The House」を映画化したのがこれだ。その小説は私も以前に英語の原版で読んだことがある。実話を元にした小説だ。かつて著者が大学生だった時に自らが経験したラスベガスでの大儲けの物語りである。主人公のベン・キャンベルってのがベン・メズリック本人の事だ。映画では現在の物語に改変されているなぁ。
日本では現在劇場公開中だったかな。ってことで、今後、この映画を見る予定の人は以下を読まないように。
 
主人公は米国のボストンにあるMIT(マサチューセッツ工科大学)の学生、ベン・キャンベルだ。
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MITは米国の科学技術系の最高峰の大学である。成績優秀な彼は、MIT卒業後にハーヴァード大学医学部に入学することが決まったのだが、その学費もなく、奨学金の競争倍率も高く、バイトの収入も少ない。学費と生活費を見積ってみると、今後、30万ドルが必要だ。ベンは途方にくれていた。
そんな時、MITの数学の教授、ミッキー・ローザがベンに声をかけてきた。
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教授はベンの数学的な才能を認め、教授自身が運営している秘密のチームへ招待したのだった。そのチームにはすでに4人の成績優秀な学生がいて、教授の指導の元、トランプ・ゲームの「ブラックジャック」での必勝法を研究していた。イカサマではなく、合法的に勝つ方法だ。一切のハイテク機器を使わずに、トランプのカードをカウントし、出てきたカードを記憶する。そして「確率変動」の理論を応用だ。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/21_3.jpg
数学的に秀才なベンはすぐにその手法を習得し、教授ら一行とラスベガスに行って大儲けしてくるのだった。
その後も休日になると彼らはボストンとラスベガスを往復し、偽名を使い、変装をしてブラックジャックをする。教授らは大儲けだ。メンバーたちは儲けた金で高価な買い物をして、贅沢な生活を楽しむ。ベンの学費もすぐに稼げそうだ。
ところが、カジノを監視カメラでチェックしているセキュリティ担当者が、ベンが勝ち続けていることに気が付き、監視カメラでその動作を詳細にチェックしだしたのだ。何かをやっているはずだ、仲間がいるはずだ・・・と。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/21_4.jpg
一方、チームのメンバーたちの間では仲間割れが発生し、教授から見放されたビルは自滅していく。そして・・・。
 
 
私もMITへの留学経験があるMITの出身者である。私も「ベン・メズリックっていう名前の先人がラスベガスで大儲けした」という伝説は留学中に聞いたことがある。その手法は「カウンティング」と呼ばれているもので、私もその手法の詳細をその時に教えてもらって知っている。いかにカードをちゃんと記憶するかにかかっている手法なので、ゴロあわせで数字を覚えることができて、ソロバン的な暗算が得意な我々日本人にとっては、非常にフレンドリーな手法なのだ。ただし、この映画の中ではその手法を部分的にばっさりとカットしちゃっていて、全てをちゃんと見せていないものだから、いったいどんな手法でブラックジャックに勝っているのかさっぱり見えてこないのだ。だから、それで面白さは半減しちゃっている。ちゃんと手法を見せちゃうと、マネする奴が出てくるだろうから、仕方ないんだけどね。このやり方は現在でも違法ではないが、ラスベガスのカジノでは監視カメラにてチェックされているのだ。カウンティングが発覚すると、マッチョな警備員に連れて行かれて、裏の部屋でボコボコにされるらしい。映画「レインマン」の中でも、カウンティングがバレるシーンがあったよなぁ。今では、カウンティング発見用にコンピュータを使い、監視カメラの画像を自動解析するという人工知能を応用したハイテクなシステムが稼動しているカジノも多いようだ。
 
で、そのように、この映画では肝心のカウンティングの手法を見せていないのと、カジノでのインテリジェンスのあるゲーム進行を見せていないものだから、見ていてもいまひとつ面白みがないのである。チームとセキュリティとの知恵比べにすらなっていない。最後にちょっとしたサプライズのドンデン返し的なものを見せてお茶を濁しているにすぎない映画なのだ。スッキリしない映画だねぇ。
ってことで、私はこの映画にガッカリだ。
 
 
映画「ラスベガスをぶっつぶせ」
http://www.sonypictures.jp/movies/21/
 
 
 

 
教授の役を演じているのが、お馴染みのケヴィン・スペイシーだ。最近、ますます髪の毛が少なくなってきているなぁ。彼はこの映画のプロデューサーでもある。
 
この映画、本当にMITでロケをやっているねぇ。校内の見慣れた風景があちこちに登場している。映画の中で見られるのよりは、実際にはもっとボロなんだけどさ。
 
ちなみに、室蘭工業大学も、武蔵野工業大学も「MIT」なんだそうだ。
 

 
 
 

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