映画嫌い (334)

2008年11月9日 映画
 
本日の映画は2006年の米国映画「幻影師アイゼンハイム ~ イリュージョニスト (The Illusionist)」である。スティーヴン・ミルハウザー著の小説「Eisenheim The Illusionist」を映画化したものである。私はこれの原作本を読もうと以前から思っていたんだけど、読む機会を逃してしまい、読まずに映画のほうを見てしまった。だから、私は原作本の内容との違いはわからない。

舞台はオーストリア帝国のウィーン。いつの時代なのか明示されていないが、街を馬車が走り、鉄道がある様子からすると、19世紀末のような気がする。
エドワードは家具職人の家に生まれた。エドワード少年はマジックに興味を持ち、独学でマジックを勉強して、数々のワザの訓練を行なう。そんな時にエドワード少年は公爵令嬢のソフィーと知り合い、お互いに惹かれていくのだが、身分の違いから、ふたりの仲は公爵側によって裂かれてしまうのだった。絶望したエドワード少年は家出をして、世界中を周り、マジックのワザに磨きをかけたという。そして15年の年月が流れた。
エドワードはアイゼンハイムという芸名を名乗る一流のマジシャンとなってウィーンに帰ってきた。ウィーンの劇場での毎晩のアイゼンハイムのイリュージョン・ショーは大人気となり、いつも満員だ。その噂から、皇太子とその一行が劇場までショーを見にやってきた。その一行の中に、あのソフィーがいたのだ。ソフィーは皇太子妃になるとの噂になっていた。アイゼンハイムは思わぬソフィーとの再会に驚き、ソフィーと皇太子の仲に困惑する。アイゼンハイムがエドワードである事を知ったソフィーは、アイゼンハイムを訪問し、その後も密会を重ね、ふたりは愛し合う。
ユール警部はマジックに興味を持ち、アイゼンハイムのショーを見て感銘を受けた男だ。ユール警部はウィーンの治安を守り、皇太子の警護も担当する皇太子の側近でもある。ユール警部はアイゼンハイムを呼び出し、ソフィーとの密会について警告をする。
その後、皇太子からの招待があって、皇太子の城にてアイゼンハイムはショーを行なう。皇太子はアイゼンハイムのマジックのタネを見破ることができずに非常にイラつく。そんな傲慢な皇太子に嫌気がしているソフィーは、皇太子の元から逃げてしまいたいとアイゼンハイムに打ち明けるのだった。
アイゼンハイムとソフィーの仲は、ユール警部のタレコミによって皇太子も知ることになり、嫉妬した皇太子はソフィーを呼び出す。そして、ソフィーから「殿下とは結婚する気はない」と言われてしまった皇太子は、ソフィーを平手打ちし、逃げるソフィーを追いかけた。刺されて血まみれになったソフィーは馬に乗って逃げるのだった。翌朝、郊外の池に浮いているソフィーの死体が発見された。ユール警部はソフィーの衣服に付着していた宝石から、皇太子がソフィーを殺したと直感する。アイゼンハイムはユール警部に「皇太子が殺したんだ」と詰め寄るが、ユール警部は「証拠はない」と否定するしかなかった。
その後、アイゼンハイムのショーの内容が一変した。彼は舞台の上で死者たちの霊魂を呼び出すショーを始めたのだ。観客はその生々しい霊魂の姿に熱狂し、アイゼンハイムの霊能力を絶賛する。ある時、舞台の上に登場したのはソフィーの霊だった。ソフィーを殺したのは皇太子ではないかという憶測が観客たちの間にもあったので、「皇太子に殺されたのか?」と観客たちはソフィーの霊に向かって言い出して騒ぎになる。監視に来ていたユール警部は舞台の上に駆け上がり、「不安を煽り、秩序を乱す行為だ。帝国に対する侮辱と脅威だ」と宣言してアイゼンハイムを逮捕してしまうのだった。ユール警部はアイゼンハイムの能力を絶賛しながらも、皇太子が殺したという決定的な証拠がなく、彼自身が激しく動揺する。もうソフィーの霊は出さないと約束したアイゼンハイムは釈放されて、彼は最後のショーを行なうこととなる。そのショーとは、彼自身が霊魂のようになって消えていくというものだった。その後の彼がどうなったのか誰も知ることはなかった。
一方、ユール警部はソフィーが刺されたと思われる納屋から、もう1つの宝石を発見した。それは、皇太子の剣に付いていた宝石だ。それを決定的な証拠として、ユール警部は皇太子に詰め寄る。そして・・・。
 
 
正直に言うと、この映画はなかなか良くできていると思う。だから毎度のようにクソ映画、カス映画、バカ映画、デス映画、・・・と見下して評価すべきものではないだろう。ストーリーは良くできているし、無駄なシーンも見あたらない。最後のドンデン返しの見せ方も良い。アイゼンハイムの役も、ユール警部の助演も良い。ラスト・シーンで、駅のホームでユール警部が事の真相を理解して「アイゼンハイムよ、やってくれたな!」と脱帽して微笑む姿には、ユール警部と一緒になってアイゼンハイムに拍手したい気分になる。これほど良くできている映画はめずらしいと思う。
ただし、そのドンデン返しってのが、映画の途中で私にはある程度の想像がついてしまったのだ。ソフィーが刺されたというそのあたりからがアイゼンハイムの仕組んだイリュージョンになっているというのは「想定内」だった。その点ではちょっとだけ残念だ。どんなドンデン返しなのか気になる人は、お近くのレンタルDVD店で借りて見よう。
それと、ソフィーがいまひとつ魅力に欠けているのが痛い。アイゼンハイムはどうしてそんなソフィーの為に人生を張ったイリュージョンを仕掛けたのか疑問に思えるのは私だけであるまい。

そして、毎度毎度の疑問がある。それは、なんでオーストリア人たちが全員、英語で会話しているんだろうか?ってことだ。英語で会話しているし、観客たちは霊魂の姿に熱狂しているものだから、なんだか英国での話のように見えてしまう。ホント、英国人って心霊関係が大好きだからねぇ。
 
ちなみに、この映画の音楽は、現代音楽の作曲家としては有名なフィリップ・グラスだ。ストーリーも映像も良くできているものだから、音楽には全く印象が残らなかったなぁ。
 
映画「幻影師アイゼンハイム ~ イリュージョニスト」
http://www.geneishi.jp/
 
 

 
 

 

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