映画嫌い (375)

2009年2月17日 映画
本日のカス映画は2008年の英国映画「スラムドッグ$ミリオネア (Slumdog Millionaire)」である。英国映画ではあるけれど、舞台はインドのムンバイ(旧・ボンベイ)で、主人公をはじめ登場人物が全員インド人、撮影スタッフのほとんどもインド人。ってことで、英国の映画会社の資本で作られたインド映画ってなところだろう。この映画は日本では今年の4月に劇場公開されるようだ。今後、この映画を見る予定の方は以下を読まないこと。
 
タイトルにある「スラムドッグ」とは「スラムの負け犬」ってな意味だな。そして、「ミリオネア」ってのは、「クイズ・ミリオネア」のことだ。日本ではフジテレビで放送されていた、司会のみのもんたの「ファイナル・アンサー?」っていうのでお馴染みだったアレだ。あの番組の元となっているのは英国でテレビ放送されていた「WHO WANTS TO BE A MILLIONAIRE?」というクイズ番組で、その番組のフォーマット(形式)をフジテレビが買い取って、同じフォーマットでフジテレビが制作していたのである。その手の、海外のテレビ番組を日本の放送局がフォーマット買いするパターンは多い。「クイズ100人にききました」なんかもそれだ。「ミリオネア」は日本の他にも十数ヵ国の放送局がフォーマット買いしていて、各国で独自に制作されたものが放送されている。ナイジェリアでも放送されているらしい。司会者が「ファイナル・アンサー?」って言うのも同じ。4択で、ライフラインとかあるのも全く同じ。番組のセットもほぼ同じ。元番組の英国版「ミリオネア」そっくりそのまま作るってのがフォーマット売買の契約の中にあるようだ。この映画の中に出てくるインド版「ミリオネア」も日本で放送されていたやつとルールもスタジオのセットも同じだから、日本人が見ても違和感がない。違う点は、インド版は週に1度の番組ではなくて、生放送で、時間切れになった場合は翌日に続きをやるってな事かな?
 
青年・ジャマール・マリクはテレビの生放送のクイズ番組「ミリオネア」に出場した。最後の問題まで正解を続けると、2千万ルピーの賞金を手にする事ができるのだ。そして、ジャマールは次々にクイズに正解していく。ところが、司会者はジャマールが正解を続ける事を不信に思うのだった。ムンバイのスラム街の出身で、学校にも通っておらず、教養もないはずのジャマールがなぜに正解を知っているのか? あと2問正解すると、最高金額2千万ルピーだ。その時にCMの時間となり、そのスキに司会者はジャマールに次の問題の答えが「B」である事をそ~っと教えるのだった。CMが終わり、番組の本番の続きが始まった。そして、1千万ルピーの問題が読まれる。ジャマールは司会者が教えた答えを信用せず、「D」をファイナル・アンサーに。「D」が正解だったのだ。あと1問だ。その時に時間切れとなり、その続きは翌日に・・・という事になる。
ジャマールの事が気にくわない司会者は、ジャマールを警察に突き出す。きっと何かの不正をやっているのだ!と。
警察に連れて行かれたジャマールは威圧的な尋問を受け、自分の生い立ちを語り出すのだった。超貧困のスラム街で生まれ、親をなくして、家もなく、兄・サリムとあらゆる事をして小金を稼いで喰いつなぎ、そんな兄とも対立して別の人生を歩んできた。密かに思いを寄せる幼馴染みの少女・ラティカとの生き別れ、そして再会。そんな今までの泥沼の人生の中でジャマールが偶然と知りえたささいな事が、偶然と「ミリオネア」でクイズの問題として出題されていたのだ。一切の不正はなかった。警察はジャマールを釈放する。
2千万ルピーの最終問題に挑戦するジャマールは・・・。
 
 
ジャマールが警察で語る自分の今までの人生というのがメインになっている映画なのだ。ジャマールの半生のダイジェストってな感じだな。確かに悲惨な幼少期ではある。しかし、それが「ミリオネア」とうまくリンクしていないのだ。ラティカとの恋話しを軸にしちゃっているし、結局はカネ(賞金)かよ?ってな印象しか残らず、何ら感動もないんだもの。クイズに正解するのは偶然って事にしてもデキスギ・ストーリーでシラケる。兄・サリムの最後の行動も謎だなぁ。
 
で、笑っちゃうのが、駅のホームでジャマールとラティカが再会するラストシーンの、その後だ。ここでストーリーが一通り終わっていて、エンドロールが・・・と思ったら、駅のホームでジャマールとラティカ、そして大勢のエキストラが突然と脈絡もなく踊り出す。インドのポップスをバックにして、まるでミュージカルの乗りのダンスだ。さすが、迷作映画「踊るマハラジャ」を産み出した国だ。訳もなく踊り出す「踊るマハラジャ」のあのバカバカしさをこっちの映画でもやっちゃったんだなぁ。これで「ミリオネア」の件も吹っ飛んでしまった・・・と思うのは私だけであるまい。
 
それにしても、ヘンなのは、インド人同士が英語で会話しているって事だよなぁ。テレビ番組「ミリオネア」の中でも会話は全部英語で、出題文や4つの選択肢の表示も全て英語だ。なぜか、幼少時のジャマールと兄・サリムは英語で会話していない。
 
ムンバイには私も何度か行ったことがある。繁華街から一本裏通りに行くと、もうそこは劣悪な環境のスラムになっていて、あの様子には驚いたものなぁ。フィリピンのマニラもすごかった。ナイロビ、イスラマバード、ホーチミン、香港なんかも同じようなスラムがあったし、上海、北京も同様だった。
 
 
映画「スラムドッグ$ミリオネア」
http://slumdog.gyao.jp/
フジテレビ「クイズ・ミリオネア」
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/quiz/
海外の「ミリオネア」オフィーシャル・サイト
http://www.millionairetv.com/
http://millionaire.itv.com/home.php
http://www.finalanswer.co.za/
http://www.millionairenigeria.com/
 
 

 
日本の放送局は「クイズ・ミリオネア」のような番組のフォーマットと放映権を正式に海外の放送局から買っているのだが、他の国では、無断でアイディアを盗用して同じような番組を作っている事は少なくない。米国や日本のテレビ番組が勝手に複製されているのだ。泥棒国家としてお馴染みの韓国では、日本のバラエティ番組のパクリがかなりある。韓国の放送局は盗用ではないと言い張っているが、我々日本人が見ると、あぁあの番組のパクリだなと一目瞭然でわかっちゃうんだよなぁ。「行列のできる法律相談所」のパクリ番組なんか、スタジオのセットまでそっくりじゃないか。台湾、香港には「なんでも鑑定団」そっくり番組があるんだけど、あれも無断盗用のようだ。
 
フランスのテレビでは、深夜に「裸の天気予報」ってのがあって、なぜかオール・ヌードのおねえさんが登場して、天気図の説明をしながら天気予報をやっているのだ。日本では絶対に見せていけない部分も、フランスでは規制がないからモロ出しである。あの番組をやっているのを見かけると、私の場合、あぁフランスに来たなぁ~という実感がする。時々、全裸のおにいさんに替わっている時があるのがイヤだな。
その番組はベルギーに輸出されて同じようなヌード天気予報の番組が放送されたが、非難と苦情が大量に放送局に寄せられて、すぐに番組は終了したようだ。あの番組を日本でもやっちゃう放送局ってないものかなぁ? 日本の放送局は自己規制、業界規制が多く、最近はそれが更に厳しくなっているから無理だろうなぁ。
 

 

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