映画嫌い (396)
2009年3月15日 映画本日のクソ映画は2007年の英独米合作映画「ラスト・キング・オブ・スコットランド (The Last King of Scotland)」である。
スコットランド人のニコラス・ガリガンは地元のスコットランドの医大を卒業した。彼は医師としての人生を始めるにあたり、どこか他の国で修行をしようと考えた。そして、地球儀をぐるぐると回し、指を差して止まった場所はアフリカのウガンダだった。さっそくニコラスは、ウガンダのイナカの村の診療所に勤務しているメリット医師の元に助手として赴任する。ちょうどその頃、ウガンダでは、軍部のクーデターにより大統領が失脚し、アミン将軍が実権を握って大統領になったのだった。
赴任まもないニコラスは、近隣までやってきたアミン大統領のケガの治療をしたことで、アミンからの厚い信頼を得る。そしてニコラスは大統領官邸に招待され、大統領の主治医に任命されるのだった。大統領の側近としてのニコラスの生活が始まった。ところが、前政権支持者のテロが続発し、それに対抗してアミンは粛正を始めたのだ。独裁者となったアミンは大量虐殺をして、恐怖政治を行なう。権力の魅力に負け、堕ちて行くニコラスも、そんなアミンの姿に疑問を持ちはじめ、ちょうどその頃、アミンの第三夫人・ケイとニコラスは不適切な関係になり、ケイは妊娠してしまうのだ。ニコラス、危うし。ニコラスは薬物での大統領暗殺に成功するのか?
ヒトラー、ポル・ポト、スターリン、毛沢東と並び、最悪の独裁者として知られるあのアミン大統領を、側近の医師・ニコラスの視点から見せた映画・・・、ひとことで言えば、そ~いう事が売りなんだろうけど、なんだかすごく企画倒れな感じがする。あくまでもニコラスをストーリーの主役に持ってきているので、ウガンダの暗黒時代を証言するというような歴史的価値もなく、政権の内幕やアミンの意外な一面を見せているわけでもないからだ。だから、かなり物足りない。アミンと言えば人肉を食べるという事でも国際的に非難を受けていた人物だったわけだが、人肉のシーンとか、それに関して言及するシーンすらどこにもないのである。後半ではアミンを毒殺しようとしてバレちゃったニコラスの逃亡劇になっちゃうし、なんだか焦点がボケちゃっているんだよなぁ。高い志しを持ってウガンダまでやってきたはずのニコラスなのに、診療所のメリット医師の妻に手に出そうとしたり、大統領夫人とファックしたり・・・と、彼のブレた性格の表現も手ぬるい。
ニコラスを演じているのがジェイムズ・マカヴォイだ。最近では映画「ウォンテッド」で主演をしていた。「ナルニア国物語」にも出ていたっけ。この役者がニコラスを演じても、なんだか存在感が薄いし、医師としての知性も感じられないのである。もっと深みのある役者を使うべきだったな。そのキャスティング・ミスでこの映画はかなりレベル・ダウンしちゃっているぞ。それに、着替えシーンでチン●を見せるんぢゃない!
一方、アミン大統領を演じているのがフォレスト・ウィッテカーだ。この人に独裁者をやらせたのは一種の驚きである。この人、それまでに様々な映画に脇役、チョイ役で出演していたでしょ。そのほとんどが、ちょっと気の弱い、モジモジする系の黒人さんってなイメージだったよねぇ。どの映画だったか忘れたけど、上手くその能力を発揮できなくて汗だくになって焦る超能力者ってな役もやっていたっけ。最近では映画「ヴァンテージ・ポイント」で、ビデオ撮影をする観光客を演じていたなぁ。そ~いう万年脇役ってな彼が、真逆の、大きな身ぶりで熱弁するアミンを演じているんだもの、すっごく意外なのだ。更に意外な事に、彼がその役にハマっちゃっていて、それなりの存在感を出している。へぇ~、このような役もこなせる役者さんだったんだねぇ・・・と驚きだなぁ。残念ながら、顔は本物のアミンには似ていないんだけど。ちなみに、彼はこの役でアカデミー賞を受賞しているらしい。
あまり登場シーンはないが、診療所のメリット医師の妻を演じているのがジリアン・アンダーソンだ。そう、「X・ファイル」でスカリー役だった人だ。だから、いきなり銃を構えて「モルダーぁ!」と叫びそうな錯覚に陥るのは私だけであるまい。
映画「ラスト・キング・オブ・スコットランド」
http://movies.foxjapan.com/lastking/
ジェイムズ・マカヴォイ
http://www.imdb.com/name/nm0564215/mediaindex
フォレスト・ウィッテカー
http://www.imdb.com/name/nm0001845/mediaindex
ジリアン・アンダーソン
http://www.imdb.com/name/nm0000096/mediaindex
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