映画嫌い (419)
2009年5月13日 映画本日のクソ映画は2006年のロシア映画「ステルスX」である。
ロシア軍の若き女性科学者・オルガ中尉が開発したゴルゴン・システム。それは搭載したあらゆる航空機をステルス化できるという優れものだ。ステルス化の実験を兼ねた演習飛行が行なわれ、機長、副操縦士、エンジニアの3人と共にオルガもその戦闘機に乗り込んだ。ところが、ゴルゴン・システムを狙うアラブ系テロリストが、米国の商用衛星経由の回線を使って飛行中の戦闘機の自動操縦システムをハッキングしてきたのだ。戦闘機は操縦不能になる。オルガたちは事態の解決の為に抵抗を試みるが・・・。
戦闘機アクションものとしての迫力が全くないぞ。間延びしちゃって緻密さがまるでない。無意味で無駄なシーンが多過ぎだ。約90分の映画なのに、映画が始まって30分経過しても、まだ戦闘機が飛び立たない。最初の30分は、オルガの家族の事情とか、機長の家庭環境のようなものをちんたらと見せているのだ。そんな事、ストーリーに何の関係もないじゃん。オルガや機長の人間性や普段の生活背景の描写をそのように見せる事に何も意味ないぞ。その上に、肝心のメインのストーリーがバカバカしいほどに薄いのだ。戦闘機が操縦不可能になってテロリストに乗っ取られて、それを解決するのはオルガらの搭乗員じゃなくて、米国の衛星なんだもの。単に回線を遮断するスイッチを入れただけ。トホホ・・・である。その衛星ってのが、ジェット・エンジンのような轟音を立てて地球を回っているのもダメだな。大気圏外の宇宙空間には空気がないんだから、音という空気の振動は伝わってこないぞ。それに、あんな高速で地球を回っていちゃダメだ。静止衛星じゃないとな。静止していないと、地球の裏側に回っている時に電波が届かなくなって、戦闘機の操縦を掌握できなくなっちゃうぞ。そして、静止衛星ならば、赤道の上空を飛んでいなきゃ。赤道の上空を飛ばない静止衛星ってのはありえないぞ。
その他にも非科学的な事が多すぎる。ステルスの技術についても、この映画の関係者は何も知らないんだろうねえ。ステルスってのはレーダーに機影が映らなくする技術で、それはレーダー波を反射させないで吸収する機体の素材、それと、どうしても吸収できなくて反射してしまうレーダー波については機体の形状を工夫して乱反射にしてしまうという、大きく2つの技術から成り立っているのである。米軍のステルス機が奇妙な形状をしているのは、そのような技術を使っているという必然性の固まりであるからだ。この映画の中に出てくるゴルゴン・システムというのがどのような原理でステルス化しているのか一切の説明がないけれど、あのようにコンピュータからオン・オフを操作するような何らかの電磁気的なものだとしても、通常の形状の戦闘機がステルス化できるわけがない。いったいどんな原理でステルス化しているのか、そ~っと私だけに教えてほしいものだ。
で、結局、無事に戦闘機はロシア軍基地に帰還し、バツイチの機長とオルガはラブラブになり、ロシア大統領から授勲されるのだったぁ、めでたし、めでたし・・・だとさ。ってことで、こんなアホな映画は無視しようぜ。
映画「ステルスX」
http://www.discas.net/netdvd/goodsDetail.do?pT=0&titleID=0088052229
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