映画嫌い (431)
2009年6月2日 映画本日のクソ映画は2009年の米国映画「ターミネーター 4 (Terminator Salvation)」である。スカイネットによる核攻撃で「審判の日」に人類社会が崩壊した後の、スカイネットと抵抗軍の戦闘が激化する2018年の物語りだ。
この映画は今月の13日から劇場公開されるようだ。今後、この映画を見る予定の人とスカイネット関係者は以下を読まないこと。
スカイネットは戦闘用の金属骨格の人間型ロボットT-600シリーズを開発した。その後継機種として準備中のT-800では、人間との区別のつかないように、人工皮膚で金属骨格をコーティングする技術を完成させようとしていたのだ。そして、スカイネットは人工皮膚の実験の為に、多数の人間を生け捕りにして、スカイネットの基地に運ぶ。捕われた人間の中には青年・カイル・リースがいた。彼こそ、抵抗軍を指揮するジョン・コナーの父親だ。
ジョンはカイルを救出しにスカイネットの基地に侵入した。そして、T-600が襲ってくる中、ジョンはカイルを探し出して、捕われていた人々を解放し、施設を破壊する。逃げ遅れてしまったジョンを襲うT-600。最新型のT-800も登場だ。危うくやられそうになったジョンを助けにやってきたのは、抵抗軍から追われていたマーカス・ライトという男だ。マーカスは「審判の日」以前の2003年に犯罪者として死刑になった男で、その死体の提供を受けた科学者によって改造して作られていた「人間と機械のハイブリット」なのだった。マーカスはジョンを助けられるのか・・・?
以前の3作と比べて随分と傾向の違う内容になっているので、それに違和感があるのは私だけであるまい。ヘンテコに地味だねぇ。「1」や「2」でちょっとだけ見せていた、スカイネットと抵抗軍の未来の廃虚での戦闘シーンとはイメージが違っているなぁ。
今回、おっさんになっているジョンを救う役ってのが、シュワルツェネガー知事ではなくて、ハイブリット男のマーカスになっているわけだけど、この映画でのマーカスの存在意義って中途半端だよねぇ。マーカスなんてのがいなくても、ジョンが自力でスカイネットの基地を脱出することにしちゃえばストーリーは成立するでしょ。だから、マーカスの存在がすごく無駄かつ邪魔に見えてしまうんだよなぁ。この映画はマーカスの死刑が執行される様子から始まり、映画の前半では、マーカスがスカイネットからの攻撃を受けながら逃亡生活をしている姿を延々と見せているわけで、その間にカイルとの出会いなんかもあるものの、めちゃくちゃ退屈なのだ。そ~いうのを見せられちゃってもなぁ。ハイブリット男のマーカスなんかいらなくねぇ?と思うのは私だけであるまい。ジョンを救って抵抗軍の力になる事が自分にとっての使命だと認識するまでのマーカスの葛藤を見せたりして、そ~いうのって邪魔だよなぁ。ジョンの存在感も薄くなっちゃっているしねぇ。そして、カイルを救出する為にジョンがスカイネットの基地に侵入するあたりからの最後の25分くらいで、ストーリーは急発進しているんだもの。ジョンを襲う新型のT-800の役として全裸のシュワルツェネガー知事が登場するまでは退屈だよぉ。これって原作・脚本に問題ありだな。監督にも大いに問題ありだ。
で、問題なのは、この「4」が前作の「3」からうまくつながった続編には見えてこないってことだろう。「3」におけるジョンが、いったいどうやったら「4」のジョンになれるわけ? まるで別人なんだもの。制作サイドから漏れてきた話によると、「3」は「なかった事にしてほしい」ってさ。いや、いまさら「なかった事」ってのはないだろ。
米国でシーズン2までがテレビ・ドラマとして放送されていた「ターミネーター:サラ・コナー・クロニクル」の続きのストーリーとしても成立していないような気もする。「サラ・コナー・クロニクル」にはカイルの兄(ジョンの叔父)のデレク・リースってのが出ていたけど、「4」ではデレクの件など無視だもの。それに、「サラ・コナー・クロニクル」で登場しているカイルは2008年の現状ではまだ幼児だったのに、それから10年後の世界である2018年の「4」ではカイルの年齢設定が合ってないのでは? ちなみに、デレクはシーズン2の終わりのほうで、あっけなく死んでしまっている。
更なる続きの「5」、「6」が制作されるらしいが、「4」の続きって面白そうに思えないんだよなぁ。「5」では、ジョンとカイル、それとマーカスがスカイネットの基地に侵入し、カイルをタイムマシンに乗せて過去に送り出すまでのストーリーになっちゃうのだろうか?
その後にスカイネットは「2」に登場していた液体金属ボディのT-1000を作っちゃうのだろうけど、液体金属だなんて、テクノロジーが急に進み過ぎていないかぁ? もしかして「2」も「なかった事にしてほしい」ってか?
映画「ターミネーター 4」
http://www.sonypictures.jp/movies/terminatorsalvation/
追記:
この映画は結局は米国で商業的に大失敗し、製作会社が倒産するに至っちゃいましたとさ。続編の「5」を同じ監督で撮影する予定も吹っ飛んじゃった。こんな映画を作っているようじゃ、それは当たり前だろうねぇ。
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