【Q】レジ袋の廃止は効果があるのか?
【A】No。優先順位が違っているぞ。
昨年あたりから「エコ」の名のもとに大手のスーパーマーケットが一斉に「レジ袋の有料化」を断行している。使い捨てのレジ袋は反エコの象徴にされちゃっているのだ。レジ袋を製造する過程で排出される二酸化炭素がダメなんだと言う。しかし、その理論は実におかしいのだ。
数値で示そう。レジ袋1枚の製造時に排出される二酸化炭素は約6グラムである。これに対し、肉や魚のパックに使われているトレイ、これを1枚の製造時に排出される二酸化炭素は約8グラムである。レジ袋よりトレイのほうが多いのである。それに、トレイのほうが断然に消費量が多い。平均的な買い物を統計処理したところ、レジ袋1枚の中にトレイ付きの商品が約3.3枚入っている計算になるそうだ。この場合の、レジ袋1枚とトレイ3.3枚の合計の二酸化炭素排出量は、
6+8×3.3=32.4
で、32.4グラムとなる。すなわち、全体量である32.4グラムの中におけるレジ袋の割合は約19%でしかない。他の約81%がトレイによるものだ。だから、レジ袋を全廃するより、トレイを全廃するほうが約4倍以上の二酸化炭素排出量の低減効果になるのである。この数字を見ると、レジ袋じゃなくてトレイを優先的に廃止すべきだとわかるだろう。
実は、もっと優先的に廃止すべきものがあるのだ。それはスーパーマーケットにおける駐車場である。全ての駐車場を廃止して、車での来店を禁止すべきである。例えば、リッター15kmの燃費の車に乗って1kmの距離を買い物にやってきたとしよう。この車が往復2kmの走行で排出する二酸化炭素は314グラムである。レジ袋52.3枚分にも相当するのだ。地道にレジ袋の削減に協力するのアホらしくなるくらいトンデモない数値だ。
以上の事から、スーパーマーケットがやるべき事の優先順位は、
(1) まず、駐車場を廃止して車での来店を拒否する。
(2) トレイでの販売を全廃する。
(3) それでも余力があった場合にレジ袋を全廃する。
ってことである。
 
ちなみに、レジ袋の生産で排出された二酸化炭素の、日本での年間の合計は、2007年度で9万トン弱である。一方、同じく2007年度に日本国内で車が排出した二酸化炭素の総計は2億5000万トンだ。車に対して、レジ袋の排出量は0.036%でしかない。ノー・レジ袋、マイ・バッグでエコ気分になっても、マイ・カーを使っていちゃ意味がない。本物のエコをわかっている人はマイ・カーなんか絶対に持たないぞ。
 
ちなみに、レジ袋ってのは、石油精製の過程で残留したカスから作られている。レジ袋以外にそのカスの用途がないので、レジ袋に使われない場合は産業廃棄物として廃棄するしかないのだ。ゆえに、レジ袋ってのは「究極のリサイクル」とさえ言われている優れものなのである。
 
つづく
 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索