映画嫌い (436)
2009年6月19日 映画本日のクソ映画は2006年の米国映画「インランド・エンパイア (Inland Empire)」である。デヴィッド・リンチ監督の究極の支離滅裂映画である。わけのわからん映画だ。それも3時間もある。長い。頭がクラクラしてきたのは私だけであるまい。
女優のニッキーに映画の主演の仕事が入ってきた。男優のデヴォンと演じる不倫の映画で、タイトルは「On Night in Blue Tomorrows」だ。セリフの読み合わせの時、監督のキングズリーはこんな事を言う。実は、この映画はかつて別タイトルで映画化されようとしていたが、主演の2人が殺されてしまった為に制作が頓挫してしまったというイワク付きのものなんだ・・・と。
とにかく長い。3時間。それも始めの1時間は上記のようなストーリーがかろうじてあるんだけれど、その後の2時間は支離滅裂でろくなストーリーなんてありゃしない。キチガイの頭の中ってこ~なってんのかねぇ?と思うような、脈絡も何もないコマ切れな映像のオンパレードなのだ。上記のストーリーの続きなんてまるでない。撮影中の映画がどうなったのか・・・など、一切の結末もない。ストーリーが収束していないのだ。いや、ストーリー自体がないじゃないか。見ている側としては、メインとなるストーリーをその中から見つけ出し、頭の中で余分なノイズを排除し、ストーリーの伏線を楽しもうとするであろうが、この映画においては、メインのストーリーも伏線もない。全体がノイズなのだ。MTVが放送していたロック・ビデオの中の訳のわからん無意味なストーリー仕立てのあれを20本ぶんくらい持ってきて、それをツギハギにして、ますます訳のわからんものにしちゃった・・・ってな感じである。いったいこの映画って何を言いたいの? 何を見せたかったの? 見せたいのはキチガイの頭の中? この支離滅裂の手法、サイケとかアヴァン・ギャルド、ダダと言えるほどの前衛的な芸術性もないし、何らかの暗喩とか象徴になっているわけでもない。いったいなんなんだろうねぇ? 私にはさっぱりわからんよ。お手上げ状態だ。映画として成立してねぇんじゃないのぉ? 単に奇をてらった・・・ってな事にしか見えてこないんだもの。脈絡もなく突然とシーンが変わって、ウサギの着グルミの一家のシーンが出てきたり、冬のポーランドの路上のシーンになったり、何なのそれ? やたらと顔のどアップが映し出され、その顔じゃなくて背景にピントがあっているというピンボケ、何の意図があっての事なの? 安物のデジタル・ビデオ・カメラで撮影したらしく、手ブレも満載だ。路上に座って黒人男といちゃつくアジアンな女性が、こりゃまた脈絡もないセリフを喋り続け、もう、完全にイっちゃってるぞ。そのアジアン女性、どこかで見た事が・・・と思ったら、なんと裕木奈江じゃん、懐かしィ・・・っていうか、日本人から見るとますますマッドネス度が向上しちゃって見えてしまうなぁ。主演のニッキーの役の女優さんは米国版・室井滋ってな感じにも見えてしまうのは私だけであるまい。
とにかく、支離滅裂な脚本、ダサい演出、ダイコン演技、セコい特撮、ちゃちなセット、・・・と4拍子も5拍子も揃った究極の大駄作がコレだ。この3時間にあなたは耐えられるか? 私には無理。頭がクラクラしてきた。
映画「インランド・エンパイア」
http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/inland_empire/
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