映画嫌い (188)
2007年7月3日本日のクズ映画は2006年の米国映画「アドレナリン (Adrenaline)」である。
主人公のチェリオスは殺し屋だ。チェリオスは自宅で寝ている間に、仲間だったギャングのリッキー・ベローナに毒物を注射されてしまった。チェリオスが殺しの指示に従わなかった事への報復である。その毒物の作用により、チェリオスは自分をハイな状態にして体内でアドレナリンを常に分泌させていなければならなくなった。休憩してアドレナリンの分泌が低下すると死んでしまうのだ。そしてチェリオスはリッキー・ベローナへの復讐のために街へ出た。チェリオスは解毒剤を入手してリッキー・ベローナを抹殺できるのか?
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随分と鬱陶しい映画だ。クスリでラリってパッパラパーな映画だから、見ていて非常に疲れる。できそこないのサイバー・パンク映画と、できそこないのギャング映画の失敗コラボってなところだ。ラリパッパーで無意味な暴力シーン、下品で汚い言葉、何の効果もないエフェクトがなされたシロウト丸出しの醜悪な映像編集、クスリの効果に責任転化している破綻したストーリー、・・・で不快感しか感じるものはない。最後のほうのシーンで、脈絡もなく中国系ギャングが登場してきて、なんでやねん!とおもいっきりコケてしまった。その冴えない銃撃戦が幼稚で幼稚で、見ている側のアドレナリンの分泌が下がる下がる。カー・チェイスもすっごく安っぽくて、スピード感もなければ、緊迫感も臨場感もない。とりあえずカー・チェイスのシーンもありますよ・・・ってないいわけで取って付けたようなNGシーンにしか見えてこないのは私だけであるまい。めちゃくちゃヘタクソな映画だ。主人公の役の男優も、その彼女の役の女優も、演技がヘタだねぇ。
ってことで、こんな映画は見る価値なし。クズだ。
で、最後には、チェリオスは上空を飛ぶヘリコプターから落下して(このシーンもヘンテコなんだよなぁ、ヘリコプターがそんな雲の上の高度を飛ぶわけがないんだよなぁ)、落下中に携帯電話で彼女の自宅の留守電に電話をして、結局は地面に叩き付けられて死去。とほほ・・・。
映画「アドレナリン」
http://www.adrenaline-movie.com/
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id327012/
映画嫌い (189)
2007年7月4日本日のクズ映画は2006年の邦画「オトシモノ」である。
「水無」駅のホームでオトシモノを拾った人たちが次々と失踪する。駅のホームに出没する謎の黒服の女性。以前に発生した列車死亡事故。トンネル内に消える女性の姿を運転手が見かけて緊急停止する車両。
主人公は女子高生・木村奈々だ。奈々の妹がホームで定期券を拾った後に消えてしまったのだった。奈々の同級生・藤田香苗の彼氏もブレスレットを拾った後に失踪する。そこで奈々と香苗のふたりは謎を解き明かそうとするが・・・。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/otoshi.jpg
死者の因縁ってものを持ち出して、それを無理矢理と事件にこじつける、矛盾しまくりの典型的なジャパニーズ・クソ・ホラー映画である。オトナが見ても全然恐くない。小学校低学年を怖がらせるために作ったような稚拙さだ。ストーリーが矛盾の上に矛盾の上塗りで、ツッコミどころ満載。もう、めちゃくちゃで、筋の通ったストーリーなんかない。2才くらいの幼児が画用紙の上にクレヨンで描いたハチャメチャな絵を見せられているようなものだ。
出演は沢尻エリカ、若槻千夏、小栗旬、浅田美代子、板尾創路、杉本彩、・・・・なんでこんな奴らのクソ演技を見てあげなきゃならんのだ? なんで演技ができる役者を一人も使わずに映画を作るんだ? あんなクソ演技、クソ・ストーリーを見せてカネを取る気なのか? こんなので商売になるとでも思ってるのか? この映画の監督やプロデューサーは、こ〜いう映画を作るという行為が恥だと思うだけの脳味噌がないのだろうか? この映画の制作総指揮は迫本淳一、制作は久松猛朗、プロデューサーは石塚慶生、監督は古澤健だ。いいかみんな、ろくに仕事もできないこのバカどもらの名前を忘れるな。
映画「オトシモノ」
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id325103/
映画嫌い (190)
2007年7月9日本日のクズ映画は2007年の米国映画「ダイ・ハード 4.0 (Die Hard 4.0)」である。
今回の敵はコンピュータ・ネットワークを使うサイバー・テロ集団だ。
サイバー・テロ集団はソフトウェア会社の名を語って米国のハッカーたちに協力を要請してきた。セキュリティ・システムのテストという名目で、ネットワークのセキュリティを破ってシステムに侵入できたら賞金だと言う。それに応じたハッカーはシステムへ接続する手法とパスワードを解析し、システムへの侵入に成功する。しかし、それは、セキュリティ・システムのテストではなく、実際の各種の公的システムへの侵入だったのだ。侵入に成功したハッカーたちが次々にそのテロ集団に抹殺され、システムへの侵入方法はテロ集団の手の中に。
ハッカーたちが解析した侵入方法を使って、サイバー・テロ集団はワシントンにあるFBI本部の情報システムに侵入してきた。外部からのシステムへの侵入を察知したFBI本部は、ブラックリストにある全米のハッカー1000人全員を逮捕するように指示するのだった。FBIから各地の警察にも協力が要請される。離婚して娘・ルーシーとの関係もよろしくないニューヨーク市警の刑事・ジョン・マクレーンにも市警察から指示が来た。ニュー・ジャージ−に住んでいるハッカー、マシュー・ファレルを確保して、ワシントンのFBI本部に連行せよ!と。それがマクレーンにとっての今回の災難の始まりだった。マクレーンがファレルの自宅を訪問したところ、刺客たちがファレルを抹殺しにやってきたのだ。武装した殺しのプロだ。そして、激しい銃撃戦となる。なんとかその場を逃れたマクレーンとファレルは、わけがわからないまま、車でワシントンのFBI本部へ向かう。
翌朝、テロ集団はサイバー・テロを仕掛けてきた。まず、交通関係のシステムに侵入してきたのだ。鉄道システムがダウンし、航空局管制システムもダウンする。これで鉄道も航空機もマヒ状態だ。更にはワシントンの市交通局のシステムに侵入して、信号や道路標識を操作・混乱させた。全ての交差点の信号が青になって衝突事故が多発し、ワシントンの道路はマヒ状態に。ちょうどその時にワシントン市内へ入ってきたマクレーンの車も交通渋滞に巻き込まれ、マクレーンとファレルは徒歩でFBI本部へ向かう。
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サイバー・テロは更に続く、テロ集団は衛星、通信、電話、携帯などのシステムを掌握し、証券取引所のシステムにもダメージを与えて株式市場が混乱する。また、国土安全保障局のシステムに侵入して炭疽菌警報を鳴らし、職員たちは局から退去させられる。そして、電力、水道、ガス、核施設の各システムにも侵入して、全米が大混乱に陥る。
その頃、武装したテロ集団はメリーランド州ウッドローンにある社会保障局を襲撃する。奴らの狙いはそこにあるサーバー・コンピューターか?
一方、ファレルを抹殺しようとするテロ集団は、掌握した通信・交通などのシステムをフルに使って、ファレルを探し出し、ヘリコプターから攻撃を仕掛けてくる。ファレルの命を狙っているプロ集団と、今回のサイバー・テロが関係しているのでは?とマクレーンは考えた。そして、事態の重大さに気がついたファレルの協力を得て、マクレーンはテロ集団に立ち向かう。
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テロ集団はマクレーンの娘・ルーシーを人質にするが・・・。
「ダイ・ハード」シリーズは今までの全作を見てきたが、今回の「4.0」は今までのやつに比べて、かなり地味な映画に仕上がっていると思う。サイバー・テロの話がメインだから、コンピュータ・システムを操作する地味なシーンが多く、それだけハデハデな爆破や銃撃戦が少なく見えてしまうのだ。カーチェイスや銃撃戦はあるのだけど、なんだか盛り上がりがない。戦闘機F-35に攻撃されるシーンはまあまあのアクション・シーンではあるものの、以前の「ダイハード」シリーズに比べると物足りないし、アイディア的にもいまひとつなのである。舞台がニュー・ジャージ−のカムデン、ワシントンDC、ウエスト・ヴァージニアのミドルトン、ボルチモア、メリーランドのウッドローンと移動していくのも散漫だ。デジタル男のファレルと、アナログ男のマクレーンのデコボコ・コンビの対比も物足りないし、敵のデジタルさと対決するマクレーンのアナログさの描写も弱い。ストーリーのアイディア自体が弱いのだ。最後の決戦のシーンも地味すぎて、あっと驚くシーンではないなぁ。
それにさぁ、これ、なんだか内容が古臭いんだよなぁ。敵のボスが元・政府機関のネットワーク・セキュリティ担当者だったとか、サイバー・テロに見せかけておいて結局はカネだったとか、そのような古めかしいストーリーを今さら見せられてもなぁ。敵のボスの愛人がアジア系の女性で、自らサブリーダーとなって武装して襲撃し、カンフーで戦うっていうカビのはえたようなシーンってのもいただけない。娘を人質にするってパターンも古すぎて、ただ呆れるだけだ。そ〜いう時代遅れな父娘愛を映画で見せてくれなくてもいいってばぁ。そもそもネットワークでシステム侵入だなんて、それ自体が時代遅れで古臭いじゃないか。まるでコンピュータ・ゲームの中に入り込んでしまうってな映画のような古めかしさだ。戦闘機F-35の翼の上にマクレーンが乗るシーンは、シュワルツェネガー主演の映画で似たようなシーンを見たことがあるような気がするし、エレベータのワイヤーに車がぶら下がって落ちそうになってハラハラさせるシーンは、「ジュラシック・パーク」に似たようなシーンがあったような・・・と思わざるをえないのだ。なんだか新しいものがないんだよねぇ。テロ集団のボスがマクレーンに向かって「お前はデジタル時代のハト時計だな」と言うシーンがあるんだけれど、それはマクレーンの事ではなくて、この古めかしい映画のことを言っているように思えるのは私だけであるまい。
タイトルが「4」ではなくて「4.0」ってなコンピュータのハードウェアやソフトウェアのバージョンのような表記にしているのは、この映画がコンピュータものであることを示しているつもりなんだろうけれど、この映画で描写されているコンピュータやネットワーク・システムって、かなり現実離れしてヘンテコなものなのである。
この映画では、ネットワーク経由でシステムに侵入すると何でもできてしまうかのように見せているけれど、現実のシステムではそのようになっていないのである。たとえば、ガス会社のシステムに侵入できたとしても、ガス管の配管やバルブのコントロールをシステム経由で遠隔操作できるようになっていないのが現状だ。米国でも日本でも、せいぜい、システムの中にサブシステムとしてGIS(地理情報システム)があって、ディスプレイ上に表示した地図の上に配管などの管理情報(配管ルート、口径や埋没年月日などの属性データ)を重ね合わせて見る事ぐらいしかできないのである。だから、この映画のように、ガス会社のシステムに侵入してガスの流れるルートを遠隔操作して、指定した場所にガスと炎を送り込んで攻撃するということは、とてつもなく非現実的なのである。同様に、ネットワークに接続されていない信号機の点灯を青に遠隔操作するのも不可能であるし、ネットワークに接続されていない街中の防犯カメラを遠隔操作してその撮影画像をコンピュータのディスプレイに表示させることも不可能なのだ。ってなことで、この映画の中に出てくるようなコンピュータ・ネットワークで支配されている世の中って、20年くらい前に考えられていた古くさい近未来SF的コンピュータ支配社会であって、現状とはかなりかけ離れているのである。
また、映画のストーリーにでてくるような、全米のデータを特定の一箇所のサーバー・コンピュータ(社会保障局)に集めているってのも非現実的なシステムである。データ保護の為にデータを分散化させるのはセキュリティの基本中の基本だと知らないのかなぁ? 1960年代に米国の国防総省による戦略システムの開発において、もしも敵がメイン・コンピュータを核攻撃してきて、それが破壊されたりダウンしたら・・・ってな場合を恐れて、データの分散化とデータ処理を行なうコンピュータの分散化の手法が研究され、それがARPANETという軍用のネットワーク・システムになり、それが元となって、現在の民間用のインターネットができあがったのである。データやデータ処理するコンピュータを一箇所に置いて、そのサーバー・コンピュータで処理を行なうというシステム構築は40年も前に否定されているのである。お願いだから、映画を作る前にはそれくらいの勉強しておいてよね。
ハッカーがプロクシも使わずに自分のIPアドレスをモロ出しにしてシステム侵入するってのもありえない状況だなぁ。それに、FBIのコンピュータってのは、UNIXベースのTCP/IP、イーサネット系のプロトコルでネットワーク構築されていないから、外部からインターネット経由でhttpとかftpのプロトコルのネットワーク層で接続すること自体が無理だ。telnetも使えないんだもの。たとえ接続できたとしても、パスワードを解析するのには、現在の世界最速のスーパーコンピュータを使ってバリバリと解析処理をやらせても2億年以上の計算時間が必要なんだよねぇ。プロのシステム・エンジニアさんなど、コンピュータに詳しい人がこの映画を見たら、その他にも多くの誤りやヘンテコなシーンに気がつくだろう。
映画「ダイ・ハード 4.0」
http://movies.foxjapan.com/diehard4/
http://www.livefreeordiehard.com/
映画嫌い (191)
2007年7月27日本日のクズ映画は2007年の邦画「ドルフィン・ブルー」である。サブ・タイトルが「フジ、もういちど宙へ」だ。「宙」と書いて「そら」と読まなければならないそうだ。余計なお世話である。
岩貞るみこ著「もういちど宙へ」をベースにした実話の映画化である。
沖縄チュラウミ水族館に赴任してきた獣医の上村一也が主人公である。
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上村はイルカ・ショーのイルカの飼育と健康管理を担当することになった。20頭のイルカの面倒を見る忙しい毎日だ。そんな中、フジという名前のイルカが原因不明の感染症にかかり、尾ヒレが先端部分から壊死してきたのだ。フジの命を救う為に、壊死した尾ヒレの部分を切断しなくてはならない。
フジは泳げなくなるかも知らないが、フジの命を救うためだ・・・と、切断手術が行なわれた。
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その後、フジの体調は元に戻り、感染症の心配はなくなったが、尾ヒレを失っている為に、フジは泳ぐことができない。水の上に浮かんでいるだけだった。
泳げないフジを遠くから見守る、近所に住んでいる謎の子供、ミチル。
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ミチルは心に傷を持った子供だった。
上村はフジにゴム製の人工の尾ヒレを装着させるという案を持って、東京のブリジストン本社を訪問する。そして、ブリジストンの協力で、世界初のイルカ用人工尾ヒレの開発が始まった。失敗と改良を重ねて、遂にはフジは人工尾ヒレでジャンプできるようになる。
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イルカを救うという美しい実話に見える人もいるだろうが、なんだかボケちゃっているんだよなぁ。イルカを水族館の狭い水槽に拉致監禁しておいて、イルカ・ショーだなんて動物虐待に近い行為をやって、それでいてイルカを救うだなんて、人間の傲慢さ丸出しじゃないか。こんなエセ・ヒューマニズムには吐き気がするぞ。
この映画にも、邦画では毎度毎度の、ストーリーとは無関係の時間稼ぎ用の意味のないシーンがいっぱいあって、メインのストーリーが貧弱なものだから、ますます貧弱さと散漫さが増幅されちゃっているのだ。冒頭で上村が自転車で走るシーンを5分弱も見せられちゃうんだけれど、これ、何も意味のないシーンでしょ。上村の彼女との事も出てくるんだけれど、これも何も意味がない。全部、バッサリとカットしちゃったほうがスッキリするのになぁ。謎の子供、ミチルの件もストーリー上、何の意味もない。これも全部カットすべきだな。
そんな無駄なシーンが多いくせに、イルカ飼育員の苦労についてはすごい描写不足なのだ。パワーの配分のミスだぞ。人工尾ヒレを装着したら泳いだ、ジャンプした、単にそれだけにしか見えないんだもの。上村とイルカとの関係ではなくて、上村と飼育員のつまらない人間関係のほうを見せちゃっているしなぁ。そんなつまらないものを見せる必要なんかどこにもないってば。
で、それまで男なのか女なのか微妙に見えていた性別不明のミチルが、最後のほうのお別れシーンで、花柄のワンピースを着ていた。あぁ、ミチルって女の子だったんだぁ・・・とここで判明。
それでも、男の子がワンピースを着て、そっちの世界にはまっちゃっているあぶない子供・・・に見えてしまうのは、私だけであるまい。
最もこの映画で物足りなく見えるのは、ブリジストン側の開発に関する苦労話が見えてこないってことだ。イルカの尾ヒレをゴムで制作するなんて前例もないだろうから、材質的・強度的にも研究の余地は多大にあっただろうし、水の抵抗を流体力学的に研究する必要もあっただろう。そのようなノウハウの蓄積、研究開発には莫大な時間と費用がかかったであろうし、開発担当者が沖縄を訪問したりして、旅費・人件費もかなりのものだろう。そのようなブリジストン側の問題とその解決がほとんど見えてこないのである。
それにしても、みんな、演技がヘタだよなぁ(館長以外)。演技がヘタな上に、人物描写が貧弱なものだから、こ〜いう映画って、誰にも感情移入できないのだ。他人事にしか見えない、そ〜いうクズ映画なのさ。だから私は邦画が大嫌いだ。
映画「ドルフィン・ブルー フジ、もういちど宙(そら)へ」
http://www.dolphin-blue.com/
映画嫌い (192)
2007年7月28日本日のクズ映画は2007年の邦画「サイドカーに犬」である。
またしても私が大嫌いな邦画である。原作は長嶋有だな。
犬をサイドカーに乗せて、自分探しの旅に出る・・・、ってな話ではない。タイトルとストーリーは無関係なのだ。サイドカーがちょっとだけ出てくるシーンはあるけれど、サイドカーも犬も、ストーリーとは何ら関連もなく意味をなしていない。そのあたりからして、果てしなきクズ映画の世界なのである。
主人公は不動産屋に勤務する近藤カオル、29才。20年前の、彼女が小学生の頃のひと夏の出来事を回想するという内容だ。
小学生のカオルは父、母、弟のトオルとの4人暮らしだったが、ある夏、突然、母が家を出てしまった。そんな所に、家事を手伝う謎の女性、ヨウコがやってきた。ヨウコは父の知り合いだと言う。ヨウコは毎日、自転車で通ってきて、食事を作り、カオル、トオルとも仲良く遊ぶ。カオルには自転車の乗り方を教えたり、一緒にバスに乗って海へ遊びに行ったリして、カオルはヨウコを慕う。それがひと夏の出来事。
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ただそれだけだ。ろくなストーリーなんかありゃしないのだ。このまったりしたストーリーがどのように発展して行くんだろう?と見ていても、結局は何も起こらずにおしまい。起承転結ってものがないのである。オチも何もない。映画全編が意味のない時間稼ぎシーンの切り貼り状態。見るのは時間の無駄。しょーもないクソ映画だ。母親が帰ってきたオシマイ。単にそれだけ。記憶に残るシーンがほとんどない。典型的な無意味なバカ邦画だ。こ〜いう映画を作っちゃうって、頭おかしいんぢゃねぇのぉ?
で、カオルが小学生の頃のその時代を舞台にしている映画なんだけれど、その時代っていったいいつなの?と考えてしまう。カオルが29才だってのがそもそもいつの話なんだ? 仮に現在(2007年)の年齢が29才だとして、それから20年前のカオルが9才の時の出来事だと仮定すると、舞台は1987年ってなところか? そうだとしても、時代考証がかなり杜撰で、1980年代後半のシーンには見えないんだよなぁ。テレビ・ゲームの「パックマン」が出てきたり、テレビのプロ野球放送の中にジャイアンツの江川投手が映っているシーンがあったり、「ガン・プラ」が出てくるシーンもあったり、缶ジュースの自販機での価格が100円だったり、部屋に置いてある電話器が「電電公社」時代の懐かしい薄緑色のプッシュホンだったり、パトカーのサイレンが「ウ−・ウ−」だったり、・・・と、色々な時代のものが混在して、時代がハチャメチャなのである。う〜ん、この世界って、いったい西暦何年の東京なんだろぅ??
映画「サイドカーに犬」
http://sidecar-movie.jp/
映画嫌い (193)
2007年7月29日本日のクズ映画は2007年の邦画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」である。
1990年3月30日、大蔵省(当時)金融局の局長・芹沢は「不動産取引融資の規制」の通達を発表した。これを機に日本のバブル景気は一気に衰退し、終焉を迎えたのだった。あれから17年が過ぎた。
2007年3月、主人公の田中真由美、22才は多額の借金を抱え、借金取りに追われながら、キャバクラで働いていた。
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真由美の母である真理子は東大卒で、某電気メーカで家電製品の研究の仕事をしながら、未婚の母として女手ひとつで真由美を育てあげたのだった。
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真理子はある時に職場で研究していたドラム式洗濯機が偶然とタイムマシンの機能を持ってしまったことに気がつく。
一方、真理子とは東大の同級生で、現在は財務省に勤務している下川路という男がいた。
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下川路の研究チームはこのままでは2年後に日本の財政は破綻してしまうという予測を得て、真理子のドラム式タイムマシンを使って、なんとか1990年にバブル景気を終わらせないようにするという計画を立てた。バブルを終わらせない為には、芹沢の「不動産取引融資の規制」の通達の発表を中止させるれば良いと。そこで真理子は自らタイムマシンを使って1990年3月に行く。ところが真理子は1990年に行ったまま失踪してしまう。
下川路は真由美に接近してきた。そして、事の経緯を告げ、真由美に1990年3月に行くように要請する。母・真理子を探し出し、そして芹沢の通達の発表を中止させるのが目的だ。真由美は同意してタイムマシンに乗り込む事になる。
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そして1990年3月に。
そこはボディコン姿、太い眉毛のメイクでMC・ハマーの曲をディスコで踊る、バブリーな時代だった。
真由美は大蔵省に勤務する若き日の下川路に合うが・・・。
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タイトルにある、タイムマシンがドラム式の洗濯機だってのが象徴し、それで想像がつくように、ナンセンスさをメインにしたコメディである。しかし、薄っぺらなコメディで、笑える部分がひとつもなかった。三流芸人の前座のコントを見せられているような感覚なのだ。現在とバブル期の金銭感覚のギャップやファッションなどの違いをありきたりに見せているだけで、うまくギャグにしているとは思えないし、真由美が歴史を変えてしまうことの重要性も何もわかっちゃいないまま1990年で好き勝手に行動する姿には、ギャグ以前に基幹となるストーリーへの疑問でいっぱいになる。真由美は下川路の娘だった!という一種のサプライズをやっちゃっているのだが、それですら見ている側からすると早くから簡単に想定できちゃって、全然サプライズになっていない。真由美自身がその事実を知ってもほとんどサプライズしていないのもヘンテコだな。1990年で歴史を大きく変えてしまって、それで2007年に戻ってくると、下川路が総理大臣になっているってのは、ストーリーのかなりの暴走だ。
この映画が面白くない理由のひとつには、下川路を演じる役者に阿部寛を起用しちゃっているところだろう。どんな役をやらせても同じになってしまう、あれしかできない役者なんだもの、この映画でもいつものデクノボーなあれでしかない。例えて言うならば、ドラマ「トリック」において阿部寛が演じていた上田次郎教授とこの映画における下川路がほとんど同じパターンなのだ。単に相手役が仲間由紀恵から広末涼子に替わって、母が野際陽子から薬師丸ひろ子に替わっただけにしか見えてこない。「トリック」がメインのストーリーをほとんど無視したままナンセンス・ギャグの小ネタの応酬をやっているだけ、笑いという観点からは「トリック」のほうが面白いのだ。
それにしても、こっちの映画の小ネタのセンスは面白くない。1990年で、ディスコで飯島愛(本人役で登場している)を見かけた真由美が「本、書いたらすっごい売れるから」と教えたり、ラモス瑠偉(これも本人役で登場)を見かけて、「ドーハのワールドカップの予選の時、ロスタイムのコーナー・キックに気を付けて」と教える、そ〜いうのってレベルが低くて笑えない。2007年に戻ってみると、ラモス瑠偉が「ドーハの英雄」ってな事になっていて、日本代表の監督になって「ラモス・ジャパン」を率いているってなオチがあるんだけれど、こ〜いうのって面白いかなぁ?
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ところで、この映画の原作はホイチョイ・プロダクションである。週刊マンガ誌「ビッグ・コミック・スピリッツ」にバブリーな4コマ漫画「気まぐれコンセプト」を掲載している集団だ。私は今となっては「ビッグ・コミック・スピリッツ」は読んでいないんだけれど(以前は読んでいた。原律子、相原コージ、吉田戦車の4コマ漫画が掲載されていた時代だけどね)、「気まぐれコンセプト」って今でもやっているんだよねぇ? バブルの前から始まって、その時代の世相を反影しながら、もう20年以上も続いているんだなぁ、ある意味では凄い。この映画の監督は、そのホイチョイ・プロのリーダーである馬場康夫だ。あのバブル期には「私をスキーに連れてって」、「彼女が水着に着替えたら」などのおもいっきりバブリーな映画を監督・制作していたってのが笑える。そんなバブル時代に最も思い入れがあるのが馬場康夫をはじめとするホイチョイ・プロの面々だろう。タイムマシンでバブル期へ行くこんな映画を作るとは、因果なものだなぁ・・・と苦笑しちゃうぞ。
ちなみに、馬場康夫は日立製作所の元・社員である。退社してホイチョイ・プロでの活動をしながらも、日立との縁は続いていて、日立からの依頼があって、「気まぐれコンセプト」のノリでの日立の会社案内のパンフレットをマンガで作っていたこともあった。そのパンフは日立への就職を希望する大学生などに配布されていたのだけれど、日立の社内では賛否両論で、一部が回収されるという騒ぎにもなった。
そんな日立との関係の為なのか、この映画に出てくるドラム式洗濯機は日立製だ。
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そのドラム式洗濯機が置いてあるのが日立の家電研究所だ。
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財務省の研究室のシーンでは、日立のパソコン「フローラ」の箱まで見せている。
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しかしながら、日立の社内でのシーンがヘンテコでありえないようなシーンばかりなのだ。日立の機密に関わることもあるから、詳しくどこがどのようにありえないのかはここに書かない。かなり現実とは違っているってことだ。(なぜ、私にそれをわかるかって言うと、実は私、以前に日立の社員だった事がある。だから、内部事情は良く知っているんだもの。給料がバカみたく安いからすぐに辞めたけどな。なんであんな安い給料で日立では暴動が起きないのだろうか?)
ちなみに、1990年には日立では洗濯機にファジー理論を取り込んだファジー洗濯機を開発して、それを発売していた。ファジー理論はあの時代のちょっとしたバブリーなブームであったけれど、結局のところ、ファジー理論って空理空論でしかなく、すぐにすたれてしまった。あの洗濯機にしても「いったいこれのどこがファジーやねん!」ってなマガイモノでしかなかったのだ。日立って、そんなトンデモ製品をやっちゃうんだよなぁ。何年か前には、日立はパソコン用ディスプレイからマイナスイオンが出てくるってな製品を出していたこともあったでしょ。そもそもマイナスイオンってのがオカルト、非科学的な都市伝説の一種でしかないんだがなぁ。この世にありもしないマイナスイオンが出てくるってのは詐欺だぞ、日立!
映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」
http://www.go-bubble.com/index.html
関係ないけれど、この映画には、こんな悲惨なシーンもある。
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映画嫌い (194)
2007年7月30日本日のクズ映画は2007年の米国映画「トランスフォーマー (Transformers)」である。今週の週末から日本でも劇場公開されるようだ。「未整理な脚本を元に、勢いだけで作っちゃいました、あはは」映画ってなところである。これからこの映画を見ようと考えている人は、以下を読まないように。
中東にある米国空軍のサクソン基地。領空侵犯して正体不明のヘリコプターが飛んで来た。スクランブル発信した戦闘機F-22の誘導によって、その飛行機はサクソン基地に強制着陸させられた。すると、そのヘリはいきなり二足歩行のロボットに変身して、基地を荒らしまくる。基地は壊滅状態に。ロボットは空軍のコンピュータにネット接続し、どんどんデータを吸い上げる。ネットは途中で基地の兵士によって切断され、そのロボットは謎の信号音を残していった。国防長官は、敵の正体をつきとめる為、技術者を召集して、信号音の解析を指示する。
次に狙われたのは、大統領専用機「エア・フォース・1」だった。小型のロボットが侵入し、ネット接続してデータを吸い上げる。
主人公は冴えない高校2年生、サム・ウィットウィッキー。サムは自分の車が欲しくて、その資金を得る目的で、有名な探検家だった祖父の遺品、探検道具をネット・オークションに出品していた。それらは全く売れないけれど、学業の成績を条件に父親が中古車を買ってくれると言い、遂に手に入れた車は、4000ドルのポンコツの黄色いカマロだった。サムは密かに思いを寄せていた同じ高校の女生徒・ミカエラをドライブに誘う。実はそのポンコツ車は宇宙からやってきたロボット生命体が変身した姿だったのだ。
・・・ってことで、その他にもいろいろと無駄な登場人物が出てきて、無駄なシーンも多いから、おもいっきり略して、簡単に要点を以下に書いちゃおう。
宇宙からやってきた善玉のロボットたちと、悪玉のロボットたちがいて、悪玉が「キューブ」っていうエネルギー源のような物体を手にして自らパワーアップして、それで宇宙を支配しようという野望を持っていたんだけれど、その「キューブ」が地球のどこにあるのかわからない。それを調査する為に、悪玉がネット接続して情報を収集していたってわけ。で、その昔にサムの祖父が実は北極圏の探検中に氷の下で「キューブ」を見つけていて、その位置情報が祖父のメガネに書込まれていた。そのメガネがネット・オークションに出品されている事を知った悪玉が、メガネを求めてサムを狙って襲ってくる。それに対抗して善玉たちがサムを守る。善玉のロボットたちと悪玉のロボットたちのロボット同士の戦闘になっちゃうのだ。そこに国防長官が絡んできたり、サムと善玉のロボットたちとの友情があったり、弱っちいサムが勇気をもって戦う決断をしてなんちゃらとかそういう精神論になっちゃったり、ミカエラとの恋の行方とか・・・、もぉ〜、いろいろ詰め込んでハチャメチャなのである。信号音の解析をする女性職員なんかも出てきたっけなぁ、あれも無駄な登場人物だ。
見る前は、映画「宇宙戦争」のような、ロボットが地球を破壊しまくるやつなのかなぁ?と思っていたんだけれど、結局は、「善玉ロボット」対「悪玉ロボット」ってなモロにジャパニーズ・ロボット・アニメのような幼稚な世界になっている。私はこの映画に出てくるような「超合金・合体ロボ」系のアニメの世代じゃないから、こ〜いう世界には思い入れがないんだよなぁ。だから、かなり冷ややかに見てしまう。私は「マジンガーZ」も「ガンダム」も「ゲッター・ロボ」も「ライディーン」も「ヤッターマン」も「ジャンボーグ・エース」も見ちゃいない。(10年くらい前、米国のケーブル・テレビで、水戸黄門のパロディのようなバカバカしい日本製のロボット・アニメが放送されているのを見かけたことがあるんだけど、あれはいったい何だったのだろうか?)
最も気になったのは、主人公のサムに全く魅力がないって事。これは痛いなぁ。それに、勿論、ミカエラにも全然魅力がない。このカップル、まるで映画「スパイダーマン」シリーズ並みの酷さなのだ。そんなミカエラとの色恋シーンなんか不要だぞ。
また、時々出てくるコミカル・シーンも笑えなくて邪魔だ。善玉ロボットたちのボヤキのような会話とか、その手のお笑いはこの映画には不要だろう。もっとストーリーも登場人物も整理して、こんな詰め込み過ぎはやめたほうが良かっただろうにぃ。冒頭のサクソン基地の件なんかもバッサリと削除して、もっともっとストーリーをダイエットさせたほうがいいぞ。
一方、CGで作られたロボットたちの動きはよく作られているとは思う。けれど、細かく変形しながら速い動きをするロボットを見ていると、目が疲れてくるのがイヤだな。かなりせわしないんだもの。ロボットの身体をじっくりと観察できるようなシーンがほしいよなぁ。じっくり見られないから、もしも股間にヘンテコな物が付いたとしても、あれじゃわからないよなぁ。
で、ヘンテコなのが、善玉ロボットがサムに自己紹介して事情を説明するシーンで、ロボットが言ってる事。
「私の名前はオプティマス・プライム。サイバトロン星から来た生命体だ。」
続いてメンバー紹介になって、こう言う。
「彼は我が方の火器担当のアイアンハイドだ。」
「彼は護衛担当のバンブルビーだ。」
そして、
「メガトロンより先にオールスパークを探し出さなければ。」
なんて言うのだ。あのねぇ、なんで、オプティマス・プライムだの、サイバトロンだの、メガトロンだの、宇宙の果てからやってきた奴らなのに、固有名詞がすべて英語系のそれなんだぁ? 英語って全宇宙の共通語だったのかぁ?
ロボットの形状が、人間のように、胴体・手・足・頭部の構成になっていて、それが人間のように二足歩行するってのもヘンテコだ。そのようなヒューマノイド型って全宇宙共通なのかねぇ?
ロボットたちがマシンガンやバズーカ砲のような火薬燃焼系の武器で戦っているのもヘンテコだ。もしも月面のような酸素のない場所での戦闘にでもなったならば、それらの武器をどうやって使うのか? もしも木星のようなメタン系の惑星でぶっぱなすと、引火して大爆発になっちゃうかも知れんだろ。宇宙を駆け巡るロボット生命体がそれでいいのかぁ? 火薬や銃弾の補填はどうなってるのかも謎だ。
その他にもツッコミ対象となるヘンテコなシーンが多い。ツッコミ好きな人はこの映画を見てチェックしよう。
映画「トランスフォーマー」
http://www.transformers-movie.jp/top.html
補足:
その後、水戸黄門のパロディのようなくだらないロボット・アニメについて、ある方がメールで教えてくださった。その日本製アニメは「最強ロボ ダイオージャ」というやつらしい。
http://www.sunrise-inc.co.jp/daioja/outline/outline.html
ひぇ〜、すっごいバカバカしいタイトルだ。そうそう。ミト王子ってのが主人公だった。こんな馬鹿なアニメが日本でテレビ放送されていた時代があったんだねえ。