訃報嫌い
2007年3月24日ボズ・バレル(Boz Burell)が死に、そして今度はイアン・ウォーレス(Ian Wallace)までも死んでしまった。キング・クリムゾン(King Crimson)の迷作「アイランズ (Islands)」、ライブ・アルバムの「アースバウンド (Earthbound)」を作ったベースとドラムがどちらも逝ってしまったんだなぁ。
私が「アースバウンド」を初めて聴いたのは中学生だった頃だ。
あの当時、キング・クリムゾンのLPレコードは、この「アースバウンド」以外は全て日本製の日本盤が発売されていた。「アースバウンド」だけは日本盤が出ていなかったのだ。だから、街中にある通常のレコード店に行ってもこれだけは入手できなかったのである。まだ輸入盤店がそんなになかった時代だったから、入手したくてもなかなか入手できない、そんな幻のレコードだったのだ。
当時、中学の同じクラスにいたこの手の音楽が好きなK君が、「アースバウンド」のイギリス盤を新宿の輸入盤レコード専門店から通販で買った。そのニュースはクラスの仲間の間では激震だった。あの幻のレコード「アースバウンド」を持っている!と、K君はクラスの人気者になったっけ。
で、私はK君からそれを借りて聴いてみた。ブッ飛んだ。演奏が粗いのなんの。なぜに「アースバウンド」だけ日本盤が出ていなかったのか、その明確な理由を知らなかったけれど、その理由は簡単に想像できた。ライブ演奏をカセット・テープで録音したという音質の悪さもあるけれど、こんなハチャメチャな破綻した演奏はとてもじゃないが聴けたものじゃない。リズムがかなり狂ってるし、音をはずしているのが明らかな箇所がいくつもある。ボズのボーカルもヘタクソでたまらない。意味もなく奇声を出しまくっているシンセサイザーの音も邪魔でうるさいだけ。まるでアマチュア・バンドだ。こんなライブが、こんなレコードが許されるものなのかぁ?と思った。それまでの人生の中で聴いた音楽の中で、最もデスな音楽だった。その時以来、私は「アースバウンド」を聴くことはなかった。
そして、あれから数十年。先日、人生で二度目の「アースバウンド」体験をしたのである。ボズ・バレルとイアン・ウォーレスの演奏はやはり破綻している。クソ演奏である。あまりにもの酷さに、ボズとイアンの冥福を祈る気分にもなれなかった。最低だ。ボズ、イアンに続いて、次はメル・コリンズ(Mel Collins)の番だろうか?と思ってしまったもの。
もう「アースバウンド」を聴くことはないだろう。絶対に聴かない。「アースバウンド」に封印を。
キング・クリムゾン「アースバウンド」
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1908906
http://www21.ocn.ne.jp/~crimson/crim2e.htm
私が米国の某大学に留学中、現地でボブ・ディラン(Bob Dylan)のライブを見に行ったことがある。その時のバック・バンドのドラムがイアン・ウォーレスだった。地味なドラミングだったなぁ。まるでクリムゾンの時とは別人のような演奏だった。