ゾンビ嫌い

2007年4月12日
 
ゾンビの話の続きである。
ゾンビってのがウェイド・デイヴィスが唱えているような「ゾンビパウダー」に含まれているとされるフグ毒「テトロドトキシン」の作用ではないとしたら、ゾンビって何なのよ?ってな事になる。
 
その謎を解明する目的でハイチで現地調査したのが英国の人類学者、ローランド・リトルウッド(Roland Littlewood)だ。リトルウッド氏も科学者ではなく人類学者ではあるが、彼の調査方法は科学的であり、調査結果は1997年に医学誌で報告されている。その報告とは、以下のような内容だ。
 
ハイチでは、生き返った人間を奴隷にしているという事実はなかった。ゾンビの奴隷とは、根拠も何もない伝聞・噂話にすぎなかったのだ。一方では、生き返ったとされる人間をその家族が発見して、自宅に連れ戻したという事例がいくつもある事が判明した。そのゾンビとされている人々が本当に生き返った死人なのかをリトルウッド氏が調査した。
 
事例1: 
18才で死んだ娘が、その13年後に村の市場をふらふらと歩いているのを家族によって発見された。家族は娘を自宅に連れ帰った。
リトルウッド氏の医学的検査の結果、その娘はアルコール性の精神障害を患っていることは判明したものの、死んで生き返ったという証拠は何も見つからなかった。DNA検査を実施したところ、その家族とは血縁関係が全くないことが判明。すなわち、娘ではなく他人のそら似だった精神障害者を無理矢理と自宅に連れ帰って、娘だと言い張っていただけだったのである。
 
事例2:
26才で死んだ息子が、その1年半後に自宅に近い闘鶏所を徘徊していのを父親によって発見された。父親は息子を自宅に連れ帰った。
リトルウッド氏の検査の結果、その息子はてんかんの症状を持っていることが判明したものの、死んで生き返ったという証拠は何も見つからなかった。てんかんの薬(フェニトイン)を投与してみると、てんかんの症状は緩和された。DNA検査の結果、その父親とは血縁関係が全くないことが判明。すなわち、この事例も、息子ではなく他人のそら似だった精神障害者を無理矢理と自宅に連れ帰って、息子だと言い張っていただけだったのである。
 
他の事例も、これらのように、単なる他人のそら似でしかなった。精神障害でふらふら歩いている人がいて、それを見かけた人が「死んだ家族に似ている! そっくりだ! 本人が生き返ったんだ!」と思い込んで連れ帰る、そ〜いうパターンでしかなかったのだ。それが伝言ゲームのように誇張されて伝わって、死者が生き返るというゾンビ伝説になったと考えられる。
 
墓に埋葬されているはずの遺体が消えていたという事件もまれにあるが、これはヴードゥ教の儀式の為に盗まれたり、海外へ遺体を密輸(海外の医大での解剖実習用に売却)する為に盗まれたものであるであることが判明している。死人が生き返って墓から這い出したわけではない。
 
 
参考:
http://www.gwup.org/skeptiker/archiv/2000/1/zombie.html
調査中のリトルウッド氏の写真も掲載されている。

 

 
私も3年前に父親を亡くしているのだが、一年に一度くらい、街中で父親に背格好が似ている人を見かけて、おゃ・・・と思うことはある。でも、自宅に連れ帰ろうとは思わないぞ。
ハイチのお持ち帰り制度、恐るべし!
 

 
 

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