映画嫌い (173)

2007年4月22日
 
本日のカス映画は2006年の邦画「最終兵器彼女」である。マンガの実写版映画化だ。
 
北海道小樽市の高校生、シュウジが主人公。シュウジは同じ高校に通うチセと交際を始めた。ところがそのチセは改造人間で、自衛隊に強力して外敵と戦う人間兵器だったのだ。戦争が始まり、札幌市街が空襲される中、出動したチセは敵の戦闘機を撃ち落とす。
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その後もチセを狙った敵からの攻撃を受ける。
彼女が兵器であることに戸惑い、葛藤するシュウジ。チセも自分が兵器であることを悩みながらも自衛隊に強力して戦闘する。そして・・・。
 
ハチャメチャ、かつ、なんだかわけのわからん映画だ。なんで女子高生であるチセが改造人間になったのか、その理由とか経緯が全く語られていないし、そのような改造人間が日本にはチセひとりだけなのかもわからない。日本各地にこのような改造人間が何人かいて、チセは北海道地区担当者だったのかなあ。それに、なんで戦争が始まったのかも、敵がどこの国なのかも描写されていないものだから、全然、物語の背景が見えてこないのである。だから、すっごくスカスカなのだ。
 
ヘンテコなシーンもテンコ盛りだ。
兵器に変身した後のチセその姿、体積がめちゃくちゃ増加しているんだけど、変身前にその金属の体積と重量はどこに隠してあったんだ? すっごく非科学的だな。
札幌の市街地を敵が空爆しているしているシーンでは、
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爆弾が落ちている場所が、南区にある自衛隊基地じゃなくて、地下鉄「中の島」駅の近辺にある民家なのもヘンテコだ。そのような攻撃に何の意味もないだろ。戦法とかの知識もないシロウトがこの映画を作っているのかねえ?
それに、これもヘンだ。
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チセの攻撃を受けて空中分解した敵機の翼が札幌の中心部に落ちるシーンなんだけど、その翼が9階建てビルよりデカい。ボーイング747(ジャンボ機)の翼よりデカい翼の戦闘機かぁ? そんなデカい戦闘機に何の意味があるんだぁ? デカいと地対空ミサイルに狙われやすいし、消費する燃料も膨大になる。その上、整備・メンテナンスも大変である。飛んでも速度は出ないし、小回りがきかない。戦闘機がデカいことには現実には何の利点もないのだ。小型軽量化が求められている戦闘機の開発の苦労がすさまじいのに、なんて能天気で非現実的なデカさであろうか。航空力学とか、流体力学などの工学的知識も、兵器に関する知識もないでこの映画を作ったんだろうねえ。
それにさぁ、チセは自分自身のカラダが最先端の科学で作られているくせに、音楽を聴くのに使っているのが、ひと昔前のカセット・テープの携帯用のデカいやつだ。20年くらい前にディスカウント・ショップで980円とかで売っていたファンシーなやつだな。
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MDでもなく、CDでもなく、MP3のメモリーカード式のやつでもないとは、アホらしいのなんの。自衛隊よ、iPod くらい支給してやれよな。
その他にも、社会学的にも法的にもヘンテコなシーンがめちゃくちゃ多い。かなり幼稚で恥ずかしいバカ映画である。
 
幸運なことに、私は「最終兵器彼女」の原作マンガは読んだことがないのだ。だから、原作マンガとこの映画の違いは知らない。原作マンガもこの映画のようにスカスカで、非科学的なのかどうかは知らない。私はこの映画を見ても、マンガのほうを読んでみたくなる気分にならなかったけれど、もしも、原作もこの映画と同じような感じで、非科学的であり、幼稚で、政治的にも法的も著しく現実とズレているものであるとすれば、原作者ってかなり勉強不足であると思わざるをえない。いや、原作マンガは読んだことがないので、仮定の上の想像で言っているだけだ。
 
実際には原作マンガの熱烈なファンは多いらしいけど、この映画は原作マンガのファンからはクソミソに酷評されているようだ。まるで親のカタキのように泡をふきながら罵倒の言葉をあびせているファンもいるとか。今までもマンガを実写版の映画にしたやつは多くあったけれど、原作を超えたためしがないし、「デビルマン」、「キャシャーン」のように空前のバカ映画になった例もいくつもあったじゃないか。マンガの実写版映画化になんか期待しちゃダメだよ。
 
ところで、札幌在住の筆者としては、札幌が空爆されるシーンは気になるものだ。その部分だけを何度か見直してみた。
まず、前述の、敵機のデカい翼が落ちてきたシーンだけれど、このシーンはCGで作ったな。
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これ、札幌じゃないでしょ。このような街並は札幌にはない。「山本山」の看板のあるビル、「高島屋」デパートなんか札幌にないんだもの。道路に車が一台もないのも不自然だな。
 
この空爆のシーンは大通公園の三丁目あたりから見た大通西2丁目だな。「丸井今井」デパート大通館がそこにある。
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「丸井今井」の左には「マルサ」っていうデパートの看板があるし、更にその左には「紀伊国屋書店」の看板も見える。「丸井今井」の右には青い「オッペン化粧品」の看板の「都心ビル」があって、その右にはサラ金「アース」の赤い看板の「陶管ビル」もある。札幌市民にはお馴染みの風景だ。以前、これと同じ場所がゴジラ映画に出てきたこともあった。この場所にゴジラが出現したのだ。
で、このシーンの右端の黒いビル、これはCG合成だ。実際にはここにはこのようなビルは存在しない。
爆発も勿論、CG合成だ。この角度から見ると、爆弾が爆発したのは、南一条通りと創成川が交差している橋の上あたりだろうか?
 
この空襲シーンは、JR札幌駅の上にある「ステラ・プレイス」から南側の駅前通りを撮影したものだな。
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これも札幌市民にとってはお馴染みの街並だ。実際にはそこにない青い頭頂部の建物がCGで合成されていて、空爆によってそれが吹き飛んでいた。実際にそこにない建物だと知らなくても、見た感じ、かなり不自然な建物なので、CG合成だってバレバレである。こ〜いうCGは作ってはいけません!ってなヘタクソなCGだ。専門学校の課題で作ったCGじゃないんだから、ちゃんと作れよ、ちゃんと。
 
 
映画「最終兵器彼女」
http://www.saikano-movie.com/
 
 

 
 

 
 

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