映画嫌い (470)
2009年8月17日 映画本日のクソ映画は2008年の米国映画「パウダー・ブルー (Powder Blue)」である。今のところ日本では劇場未公開の上、DVDの発売もないようだ。
主な出演者は以下の4人。
(1) ローズ
シングル・マザーで、ストリップ・バー勤務のストリッパー。幼い息子は意識不明状態で入院中。彼女もシングル・マザーの母親に育てられ、母親は最近に他界した。父親の顔を知らない。
(2) ジャック
25年の刑期を終えて刑務所を出所してきたばかりの初老の男。ガンで余命が短い事を自分でも知っている。刑務所に妻・メアリーが面会に来る事を期待していたが、遂には一度も面会に来なかった。出所後、メアリーの死を知り、娘の所在を知る。彼の娘がローズだ。ジャックは自分が父親である事を隠して、ストリップ・バーのローズに会いに行ってみる。
(3) クワーティ
父親の他界により、父親が経営していた葬儀屋の仕事を継ぎ、借金までも相続してしまい、暗い毎日を過ごしている。そんな時、ローズと知り合い、愛し合うようになる。
(4) チャーリー
中年の黒人男。自分の運転していた車で交通事故を起こしてしまい、それで妻を失ってしまった。自分も死んでしまおうと考えているが、自殺する勇気がない。銃と現金5万ドル入りのバッグを持って、自分を殺してくれる人を求めて、車で夜の街を徘徊する。偶然と前を通りかかったクワーティの葬儀屋で、自分用の棺を買おうとして、ついでにクワーティに自分を殺してもらおうとするが、クワーティにそれを拒否されてしまう。
クリスマス・イブの夜、ローズの息子の容態が急変し、危篤になってしまった。看護婦はローズと連絡を取ろうとするが、ローズの行方がわからない。病院にローズの息子の様子を見に来ていたジャックはそれを知り、ローズに伝えようとする。しかし、ローズがどこに行ってしまったのかわからず、ジャックは路上で倒れてしまった。その時、ローズはクワーティと愛し合っていたのだ。
チャーリーはひとりで教会にいて、亡き妻の幻を見る。
そして、クリスマスの朝。チャーリーが教会のドアを開けると、明るくなっている外には青い雪が降り積もっていた。
ジャックは路上で倒れたまま、積もった青い雪の下で死亡していた。
死んだ息子の遺体を見つめて絶望する病室のローズ。病室の外には青い雪が降っていた。
息子の多額の医療費は父・ジャックによって支払われていた。
そして、ローズはクワーティと再会し、抱き合う。おしまい。
ほとんど中身もなく、意味もないストーリーだ。このヘナチョコ・ストーリー、なんなんだよ? 何を見せたい映画なの? 何を言いたい映画なの? さっぱりわからんぞ。だから、すっごく退屈なのである。それに暗い。
ローズを軸に、父・ジャック、それとクワーティがストーリーに絡んでいるのはわかる。しかし、チャーリーはストーリーに何の関係もないじゃないか。チャーリーの存在に何の意味があるんだ? チャーリーの5万ドルが盗まれる件、何も関係ないぢゃん。さっぱりわからんよなぁ。
最後の「青い雪」の意味だってわからん。お手上げだ。「青い雪」が何かを象徴しているわけでもなく、気象学的にもありえない色だもの、お前ら、もしかして「炙り」で違法薬物でもやってたのか?と思ってしまうのは私だけであるまい。それを映画のタイトルにして「パウダー・ブルー」って、バッカぢゃねぇのぉ? 「青い雪」に意味ないぢゃん。
その無意味なストーリーに呆れたけど、それ以上に呆れるのは、人物の描写の手薄さ、ヘタクソさだ。4人それぞれの心理がまるっきり見えてこないんだもの。ストリップする娘を訪ねる父親の心理、見えてこないねぇ。ローズと愛し合うクワーティの心理、見えてこないなぇ。なんであの2人が惹かれ合ったのかさっぱり見えてこない。その結果、全体がすごく無機質な雰囲気の映画に感じてしまった。無機質さをわざわざ狙った映画とは思えないしなぁ。良かれと思っていたプロデューサーも、監督も、うまく自分の映画をコントロールできなくて、その結果、全然ベクトルが違う方向を向いてしまい、こんなトンデモ映画に仕上がっちゃったんだろうねぇ。ちなみに、プロデューサーの中の1人として名前を列ねているのが、あのフォレスト・ウィッテカーだ。そして、彼がチャーリー役を演じている。この人、何か勘違いしているんぢゃないのぉ? 最後のほうで、実はチャーリーはその教会の神父だった・・・というオチをやっちゃっているものの、その件にも意味ないものなぁ。サプライズにすらなっていないぞ。
ってことで、こんな無意味な映画は無視しよう。
映画「パウダー・ブルー」
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