映画嫌い (166)
2007年3月26日本日のクソ映画は2005年の邦画「変身」である。東野圭吾の同名小説の映画化だ。
主人公は金属加工工場で働く純一。純一は交際している彼女・恵との同棲生活を始める為に、不動産屋で物件を探していた。そこへやってきた強盗に頭部を撃たれ、右脳の一部に修復不可能な著しい損傷を受けてしまう。大学病院に運び込まれた純一は、損傷した部分の脳を補完する為の、脳移植手術を受ける(そんなバカなぁ!)。他人の脳の一部を移植された純一。
その後、純一は無事に退院して普段の生活に戻るが、純一の意識の中に微妙な違和感が生まれてきた。脳のドナーのかつての精神パターンが、純一の意識に影響しはじめてきたのだ。純一の思考も嗜好も次第に変化し、温和だった性格もイラだち荒々しくなってきた。自分で意識もしない行動をとるようになる。そして、彼女との間にも亀裂が生じる。
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純一の意識はこのままドナーに乗っ取られてしまうのか・・・?
ドナーとは誰なのか・・・?
原作本を読んだことがある。その原作の善し悪しは別にして、これは映画化失敗だな。だって、小説版のダイジェストでしかないんだもの。映画でダイジェストなんかやってどうするんだよ。特に、人間模様、心理描写が大幅に略されているものだから、非常にスカスカな印象がする。お粗末な描写なゆえに、純一にも彼女にも少しも感情移入できないのだ。それに、この二人の役者では軽すぎて、なんだか学芸会のノリなのが見苦しい。盛り上がりもなく、あっさりしすぎているのも気になるなぁ。だから、すごくヘタな映画になっちゃっている。なんだか20年前の「火曜サスペンス劇場」の再放送でも見ているような気になっちゃう。
それで、原作の問題点なんだけれど、ストーリーの進行も結末も想像していた通りで、サプライズが何もない。わざとらしい。やはりそ〜なっちゃうのかよぉ・・・とシラケる。こ〜いうストーリーって、マンガ「ブラック・ジャック」か何かに似たようなのがなかったっけ? その上に、主人公と彼女のラブ・ストーリーとして描かれているのも、凄く鬱陶しい。視点を変えて、もっとストーリーを膨らませられなかったのかねえ? たとえば、ドナーの視点でストーリーをサスペンスに描くとか、あるいは、脳の全部を他人の頭部に移植しちゃうとか。
映画「変身」
http://www.henshin.cc/
大学病院の女医の役で出演している佐田真由美がイイねぇ。以前に邦画「仮面ライダー THE FIRST」でショッカーの幹部の役をやっているのを見て、萌え〜!だったなぁ。仮面ライダーに出演して、こっちの映画にも出演とは、変身つながりかよ?
特別出演・釈由美子って、どこがどのように特別なんだろうか?
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謎だぁ・・・。
YouTube 嫌い (6)
2007年3月28日時々、YouTube を見ている。主に音楽系の動画を見ている。
まさかこんな動画が!
とか、
よくもまぁこんな動画を持っている人がいるなぁ!
と驚く貴重な「お宝」動画を発見しちゃうことがたまにあるのだ。世界は広いよなぁ、ある所にはあるんだなぁ。
見る人が見なけりゃその価値がわからない骨董品的なマニアックなものが多いんだけど、私が驚いた動画をいくつかあげておこう。
Tai Phong - Sister Jane
http://www.youtube.com/watch?v=cyl14xk-MTQ
フランスのプログレ・バンド「タイ・フォン」だぁ!
1970年代に3枚のLPを出して解散してしまった幻の名バンドである。それも、その叙情性からバカウケした代表曲「シスター・ジェーン」を演奏している動画だ。動くタイ・フォンを見たのは初めてだ。時間的に短すぎるのが残念だけど、この動画には興奮したなぁ。このバンドにいた二人のボーカリストの片方が、このバンドの解散後にソロ・シンガーとしてデビューし、1980年代にフランスで大ブレークしている。「フランスのブルース・スプリングスティーン」なんて呼ばれていた。彼の名前はジャン・ジャック・ゴールドマン(Jean-Jacques Goldman)である。今となっては、フランス本国でもタイ・フォンの名前を知る人はあまりいない。知っている人でも、「あぁ、ゴールドマンが昔にやっていたバンドね?」くらいにしか思われていないのが残念だ。いいバンドだったよなぁ。
ちなみに、この映像でストラットキャスター(エレキ・ギター)を弾いているのは原田伸郎ではない。ベースを弾いているのも若い頃の彦摩呂ではない。フレンチ・プログレの宝石箱やぁ〜!
Los Jaivas - La Poderosa Muerte
http://www.youtube.com/watch?v=ExGOc5dVY10
http://www.youtube.com/watch?v=pnJI69K9GKE
南米のプログレ・バンド「Los Jaivas」だ。南米にもプログレがあったんだ!という認識をさせてくれた初期のバンドである。日本にはこのバンドのアルゼンチン盤のLPレコードが入って来た時期があって、日本では「アルゼンチンのバンドだ」と思われていた頃もあったが、実はチリのバンドである。(その後に判明したのであるが、チリの政変によって、バンドが一時的にアルゼンチンに亡命して、アルゼンチンで活動していたらしい。)当時、南米のこの手のバンドの情報などほとんど日本に入ってこなかったから、まさに謎のバンドだった。そのバンドの動画を見られるなんて思ってもいなかった。フォルクローレなんかの民族音楽を取り入れてプログレ風にやっているその臭さがたまんない。この臭さはヨーロッパのプログレ・バンドにはなかなか出せないだろうなぁ。この動画ではマチュピチュの遺跡でロケをやっているのがすごい。重いピアノとか、機材をどうやってあそこまで運んだのか気になる。マチュピチュには私も行ったことがあるんだけど、山の上にあるあの場所への機材搬入は、陸路では人海戦術をやってもかなり難しいんじゃないだろうか? ヘリでも使ったのかなぁ?
(つづく)
Tai Phong
http://www.taiphong.com/
Jean-Jacques Goldman
http://enpassant.jean-jacques-goldman.com/
Los Jaivas
http://www.losjaivas.net/index.html
http://homepage2.nifty.com/gdawn/HTML/LosJaivas.htm
YouTube 嫌い (7)
2007年3月29日YouTube で見つけたお宝映像、続けよう。
Art in America
http://www.youtube.com/watch?v=y9d6ek3KDRI
この映像にもめちゃくちゃ驚いた。「アート・イン・アメリカ」の映像なんかこの世に存在するとは思っていなかったんだもの。
ヘンテコな名前のこのバンド「アート・イン・アメリカ」は米国のプログレ・バンドだ。LPを1枚出してすぐに解散しちゃった幻のバンドである。このバンドのウリは、女性のハープ奏者がいるってことだった。美形の淑女が華麗に奏でるハープの音色にのってプログレが高らかに・・・ってなイメージで売ろうとしていたに違いない。プロデューサーはEL&Pやイエスにも関わっていたエディ・オフォード(Eddie Offord)であるし、メンバーにキーボード奏者がいなかった為にレコーディングにゲスト参加したキーボード奏者があのドレッグス(Dreggs, Dixie Dreggs)のT・ラビッツ(T Lavitz)だったので、私は個人的には注目をしていた。ところが、レコードが発売された直後にバンドが空中分解しちゃったのだ。実は日本でも日本盤が出ていたんだけど、すぐに廃盤になっている。今となっては皆から忘れ去られて埋もれてしまったバンドだ。
で、いざフタをあけてみたら、このバンドの音はそれほどプログレな音ではなくて、かなりアメリカン・ポップ色の強い音だった。その上に、肝心のハープが効果的に使われていなかった事もあって、かなりガッカリだった。それなりの味はあるんだけれど、何度も聴きたくなるような愛聴盤にはならない。まぁこ〜いう音もあってもいいんじゃないのぉ?ってな具合のものだ。最もガッカリだったのは、ハープ奏者のお姉さんが、華麗な美形の淑女じゃなかったことだろうなぁ。そのへんにいる普通のお姉さんなんだもの。バンドの顔としてはちょっと無理があって、このお姉さんが早々とバンドから抜けちゃった。それがバンドが空中分解した原因のようである。
ちなみに、このバンドがこんなテレビ番組に出演している映像まであるのが驚きだ。
http://www.youtube.com/watch?v=fBOAe2WlZq8
この映像を見ると、なんだかこのお姉さん、妙に浮いてないかぁ? かなりミスマッチだよなぁ。このお姉さん、今、どこで何をしているんだろうか? 今でも生きていたら、50才くらいになっているんじゃないだろうか?
Carmen
http://www.youtube.com/watch?v=s8Fr0D-pSmw
イギリスのバンド「カルメン」の映像まで残っていたんだなぁ。すごいよなぁ。
「カルメン」は1970年代前半に活動していたバンドだ。当時、イギリスから「グラム・ロック」って呼ばれるロックが登場して一世風靡しっちゃっていた。「グラム」ってのは重さの単位の「グラム」じゃなくて、「グラマーな」って意味だ。ド派手なメイクをして、光りもののハデハデな衣装を着たミュージシャンが、キンキラキンのハデハデなステージをやっていたわけ。代表的なのがT・レックス(T.Rex)、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)。みんなメイクでギンギンだった。この「カルメン」もそんな時にグラム・ロックの一派として登場したんだけど、グラムな音でもないし、グラムのファッション性もなかった。なんでこれがグラム扱いされていたのかわけがわからない。
で、このバンドの特徴は、バンド名でわかる通り、ロックにフラメンコを導入しちゃったって事だ。独特のフラメンコのリズムに乗って、フラメンコ調のメロディを歌うその音は随分と悪趣味に聴こえた。カスタネットやパルマ(フラメンコの手拍子)も使っていたし、男女のダンサーがメンバーの中にいて、間奏の時にはフラメンコ・ダンスを披露しちゃうのも目玉だった。そのダンサーのお姉さんが美人だってことでも話題になっていたなぁ。確かにキレイだね。前述のハープ奏者のお姉さんに「チョットイイデスカァ?」なんて街角で声をかけられても無視するだろうけど、こっちのダンサーのお姉ちゃんなら立ち止まるかもなぁ。
フラメンコをロックに取り入れるというコンセプトは臭いけれど面白い。でも、このバンドのメンバーには本物のスペイン人もいなければ、フラメンコ音楽出身のメンバーもいないニセ・フラメンコだったわけで、ダンサーのパフォーマンスにしもて本物のフラメンコ・ダンス界の人から見ると全然基礎もできていない稚拙な猿マネでしかなかった。そ〜いう上っ面だけの胡散臭いフラメンコだったわけだが、メロトロンを使っている事情もあって、プログレのファンから注目されちゃっていたのだ。インチキ・フラメンコ・ロック、恐るべし!
ダンサーのお姉さん、今、どこで何をしているんだろうか? 今でも生きていたら、60才くらいになっているんじゃないだろうか?
フラメンコ・ロックの話題はつづく。
Art in America
http://members2.jcom.home.ne.jp/1-11-11/art_in_america.htm
http://members.jcom.home.ne.jp/rotter-ft/favourite-cd_ART_IN_AMERICA.htm
Carmen
http://www.fandangosinspace.com/index.shtml
映画嫌い (167)
2007年3月30日本日のクソ映画は2006年の邦画「フラガール」。
つまんねぇ〜!
邦画のつまらなさ、邦画のくだらなさ、邦画の悪いところの満載。一蹴ものである。
それ以上にコメントする気なし。
映画「フラガール」
http://www.hula-girl.jp/index2.html
実は、以下の邦画も既に見終えているんだけれど、どれもがクズ映画で、コメントする気にもならない。
「天使の卵」
「夜のピクニック」
「シュガースパイス 風味絶佳」
「13の月」
「アキハバラ@DEEP」
「大停電の夜に」
「大帝の剣」
「ラフ」
「ハザード」
「涙そうそう」
「紀子の食卓」
「男はソレを我慢できない」
「Presents うに煎餅」
「ただ、君を愛してる」
「涙そうそう」
こ〜いうのばかり作っている日本の映画界って何なんだろうねぇ?
映画嫌い (168)
2007年3月31日本日のクソ映画は2007年の米国映画「300」である。原作はフランク・ミラー(Frank Miller)のマンガ本だ。それをベースに、映画「スパルタ総攻撃 (The 300 Spartans)」っていう1960年代の映画のリメイクしたものである。米国では3月9日から公開されており、かなりのヒット作になっているらしい。日本では今年の夏頃に公開されるのかな?
ヘロドトスの「歴史」に記されていた紀元前480年の「テルモピュライの戦い」を描いたものだ。300人の兵士のスパルタ軍が100万人もの兵士のペルシャ軍と戦っちゃう武勇伝・・・、ひとことで言っちゃえば、それだけだ。それにつまらないぜい肉を付けて膨らませたら、こんなメタボリックなやつになっちゃった。
主人公は都市国家・スパルタのレオニダス王だ。スパルタは強靱な軍事力と文化、法と秩序を持ち、レオニダス王はそれを誇りにしていた。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/300_1.jpg
ところが、アケメネス朝ペルシャの王・クセルクセスは領土と水を求めて、100万人もの兵士の大軍でスパルタを侵略しようとする。レオニダス王はペルシャとの戦争に備えるのだが、神官を通して神に伺いをたてたところ、神から否定的な預言があった。預言に反して戦争を行なうことは違法行為だ。そこで、レオニダス王は密かに先鋭の300人の兵士たちを率いてペルシャ軍討伐の遠征に出る・・・。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/300_2.jpg
全然面白くないぞ。なんでこんな映画が米国でヒットしているのかわけがわからないよなぁ。血が噴き出し、手足が飛ぶ飛ぶ、首も飛ぶ・・・の、それなりの迫力のある肉弾戦を見せてくれてはいるものの、スパルタ軍が強いのではなく、ペルシャ軍が弱っちいだけに見えてしまうのがつまらない。まるでショッカーの怪人のような敵が出てくるあたりがマンガの映画化だよなぁ。
結果としては、300人のスパルタ軍はペルシャ軍を次々に破って大打撃を与えるものの、レオニダス王は戦死してスパルタ軍も壊滅状態になっちゃう。その事を知ったスパルタおよびギリシャ全土の兵士が立ち上がり、そのシーンでこの映画はおしまい。中途半端な終り方だなぁ。
で、毎度毎度の素朴な疑問なんだが、なんで紀元前480年のギリシャの奴らもペルシャの奴らも、全員が英語で会話してんだぁ? その頃にはまだ英語なんていう言語自体が存在していなかっただろ。その2400年後に登場する単語まで使って喋っているのはなぜだぁ?
映画「300」
http://300themovie.warnerbros.com/
http://www.apple.com/trailers/wb/300/trailer1/
フランク・ミラーの原作マンガ本
http://www.amazon.co.jp/300-Frank-Miller/dp/1569714029
ペルシャを野蛮な悪の枢軸として描写している映画である為、ペルシャ帝国の末裔であるイランがこの映画に猛反発しているらしい。
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=10488
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070323-00000016-mai-int
ところで、フランク・ミラーってあれだよねぇ、日本のマンガ家・木城ゆきとがパクってたやつの元ネタの人。詳しくはバックナンバーをどうぞ。
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