映画嫌い (237)
2008年2月22日本日のデス映画は2007年の米国映画「アメリカを売った男 (Breach)」だ。実話の映画化である。米国人にとっては衝撃の大事件だったのだが、日本人にはあまり馴染みのない事件であるので、日本でこの映画を公開してもしょうがないんじゃないかなぁ?と思っていたんだけど、どうやらこの映画は3月8日より日本でも劇場公開されることになっているらしい。全然面白くないから、こんな映画は見ないほうが良いよ、と、私はあなたの友人として警告しておく。
2001年2月、FBI捜査官のロバート・ハンセンが逮捕された。彼は20年以上に渡って国家機密をソ連・ロシアに売り続けていたのだった。ハンセンが逮捕されるまでの2ヶ月間を描いたのがこの映画である。
FBIの訓練捜査官・オニールは上司に呼ばれ、ハンセン捜査官の補佐となるように指示を受けた。実はその指示とは、ハンセン捜査官の仕事を補佐する事が本当の目的ではなく、ハンセン捜査官の監視が目的である。オニールの監視の目に映るハンセン捜査官は、真面目で、堅物で、敬虔なカトリックだ。ハンセン捜査官には怪しいところは何もない。監視任務に疑問を感じたオニールが上司を問い詰めると、「ハンセンはスパイだ」と上司から知らされる。そして、オニールは決定的な証拠をつかむ為に、ハンセン捜査官を徹底的に調査し・・・。
米国人にとっては衝撃だった「FBIのスキャンダル」事件の実話なんだろうけれど、この映画はつまらないんだよなぁ。内偵後の詰めの捜査を時系列的に順に見せているだけで、その見せ方に創意・工夫がなく単調なんだもの。ハンセンの心理描写をそれなりにやっているものの不鮮明だ。それに、対するオニールの描写も演技もめちゃくちゃ単調なんだもの。ハンセンが知能犯でもないから、知能戦もなく、インテリジェンスに欠ける内容になっていて、危機感をもったハンセンが自滅していく単調な心理劇ってな感じになっちゃっているのがつまらない。なぜにハンセンがこんなことをやってしまったのか、それについて多くを映画の中で語らずに、判断を観客に委ねるという手法も完全に空振り終わっているのだ。最も痛いのは、この事件の震撼度が映画からはさっぱり伝わってこない事だろう。あぁ、つまらない!
映画「アメリカを売った男」
http://www.breach-movie.jp/