映画嫌い (238)

2008年2月23日
 
本日のデス映画は2007年の米国映画「ノーカントリー (No Country for Old Men)」だ。
この映画は3月15日より日本でも劇場公開されるようだ。
 
1980年代の米国・テキサスが舞台。モスはかつてベトナムの戦場で戦っていた帰還兵だ。彼がテキサスの荒野で狩猟をしていた時、偶然とカバンを見つける。そのカバンの中には、数体の死体と大量の麻薬、そして現金200万ドルが・・・。金をネコババして持ち去ったモスは、冷徹な殺し屋・シガーに執拗に追われる。その事態を知った保安官・ベルも動きだし・・・。
 
 
ベトナム帰りの元軍人、熟練の殺し屋、老練の保安官の3者がそれぞれのプロの行動力を見せてテンションを上げているのはなかなか良いのであるが、映画から漂う臭いがイヤだな。テキサスの荒野に漂う死臭、血の臭い、たかるハエの羽音・・・そのような描写が結構リアルに表現されているので、見ていると不快感が残るのだ。言い換えれば、そのようにリアルに見せているのは「上手い」のではあるが、そんな「上手い」ワザを持っているのなら、そのような醜悪な表現のために使わず、他のシーンで使うべきじゃなかったのかねぇ? だって、他のシーンでは結構スカスカな部分が多いんだもの。だから、なんだか偏った印象を受ける映画なわけ。
 
一方、保安官・ベルは良い脇役をやっていると思う。米国での不条理な暴力を心の底から嘆いている彼の心境はよく表現されていて、彼の憎む不条理な暴力の象徴として殺し屋・シガーが描かれているのもまずまずだ。ベルの目から見たシガーが、力で論理を貫く不条理な国家「アメリカ」をも象徴しているかのように見えてくる。
保安官・ベルを演じているのは、日本で最近は缶コーヒーのテレビ・コマーシャルに出演してお馴染みの、トミー・リー・ジョーンズだ。彼の深いシワと毎度の無表情な演技がこの映画でも味わい深い。クセがあるけれど、いい俳優だね。(あの缶コーヒーのCMは、彼が映画で見せている無表情さとのギャップを面白がっているんだろうね)
 
ところで、この映画は「ファーゴ」、「バートン・フィンク」などで知られるコーエン兄弟(ジョエル&イーサン)が監督だ。彼らの映画は好き・嫌いがはっきりと分かれてしまうだろうね。私は彼らのプロの手腕は認めるけれど、彼らの映画は私はどれも好きではないな。
 
 
映画「ノーカントリー」
http://www.nocountry.jp/
トミー・リー・ジョーンズ
http://www.imdb.com/name/nm0000169/
 
 

 
 

 
 

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