映画嫌い (140)

2007年1月26日
 
本日のクズ映画は、2006年の米国映画「バベル (Babel)」だ。日本では今年のゴールデン・ウィーク映画として4月中旬からの公開のようである。
毎度ながら、ネタバレな内容が含まれているので、今後にこの映画を見ようと思っているかたは、以下を読まないように。こんなクズな映画は見ないほうがいいが。
 
(1) 舞台はモロッコ。何もない山間部でヤギの放牧をしている一家。父が買ってきたライフルを山で撃って遊ぶ兄弟。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/Babel1.jpg
(2) 舞台はアメリカ。ベビー・シッターのおばちゃんは、メキシコ出身の不法入国者だ。メキシコで自分の息子の結婚式があるので、あずかっているふたりの子供を連れて、国境を越えてメキシコへ行く。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/Babel2.jpg
(3) 舞台は東京。母親を亡くして父親と二人暮しをしている女子高生。東京の都会のド真ん中の高層マンションに住んでいる。彼女は生まれながらに耳が不自由だった。
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(4) 舞台はモロッコ。アメリカ人のリチャードとその妻が観光旅行中。
http://okurahoma777.hp.infoseek.co.jp/Babel4.jpg
 
以上の、モロッコ、アメリカ、メキシコ、そして日本の、異なる4つのシーンをツギハギ状に見せられて、それがひとつのストーリーに絡み合ってくる・・・ってな内容だ。そのストーリーってのが実にくだらない。見せ方も疲れるしなぁ。
(4)の夫婦が観光バスでモロッコの山間部を移動中に、(1)の子供が撃ったライフルの弾が飛んで来て、妻の首のあたりに当たって大出血。瀕死の状態となるが、近くには病院もなく・・・、ってのがメインのストーリーで、それに(2)、(3)が伏線っぽく絡んでくる。(1)と(4)が結びついても、それと時系列が違う(2)と(3)を断片的に見せられて、かなり散漫な印象を得てしまった。伏線としての(2)と(3)もどうでもいいようなストーリーだから、メインである(4)ですら伏線のように見えてしまい、結局、この映画全体はメインのストーリーがない伏線だけのカラッポな映画ってな感じになっているのだ。(4)が薄っぺらで非常にオソマツな内容なんだもの。(4)の薄っぺらさを(2)と(3)でごまかしているとしか見えないよなぁ。(4)に出てくるリチャードの役を演じているのがブラピだから、映画を見ている側は、この人が主役で、(4)がメインのストーリーなんだなぁと感づいて見てしまう・・・ってな誘導があるのもつまらないなぁ。リチャードの役を無名の役者にやらせて、あえて主役がどの人物なのかわからなくして、どれがメインのストーリーなのかも隠したまま進行させたほうが良かっただろうになぁ。そのような意味でも、作りがとってもザツでヘタなんだよなぁ。
 
(2)がどのように(1)&(4)に絡むのかは書かないが、予想通りだった。誰でも予想がつくだろう。あまりにもくだらない。この(2)のシーンって、この映画には何の必要性もない無駄なシーンでしかない。編集で(2)に関係するシーンをバッサリと切り落としても何の差し支えない内容だ。
 
(3)がどのように(1)&(4)に絡むのかは書いちゃえ。(1)のライフルの元の持ち主が、耳が不自由な女子高生の父親だった、たったそれだけである。父親にはハンティングの趣味があり、以前にモロッコに旅行に行った時に、親切にガイドをしてくれた現地の人にお礼としてそのライフルをプレゼントした・・・、おぃおぃ、それだけかよ? (1)のライフルが元は誰のものだったとしても(4)には何の関係もないじゃないか。アホらしいでしょ。単にそれだけの関連なのに、ライフルの話には何も関係のない娘のシーンを長々と見せられるのだ。パンティを脱いでミニスカで渋谷で遊んで、歯医者に行って治療してもらっている医者を性的に挑発し、そして、訪問してきた刑事の前に全裸で登場して挑発する性的欲求不満があるかのような下ネタ女子高生・・・、そんなの(1)&(4)に何の関係もないじゃんか。だから、こんな三流ポルノのような(3)も全て編集でバッサリと切り落としてもかまわないだろ。無駄なシーンで時間稼ぎしているとしか思えない。そもそも、その女子高生を耳が不自由だという設定にしている事に、何の意味もないじゃないか。
 
2時間20分弱もある長い映画なんだけど、無駄な(2)と(3)を全て編集でカットして、(1)の8割くらいもカットできて、それを(4)に加えると45分くらいの映画になっちゃうのではないかな。それって、とてつもなくくだらない映画になるけれど、それがこの映画の正体なんだもの。
あるいは、(2)と(3)を全てをカットして、(4)の9割をカットして、(1)の兄弟の弟のほうを主役にして、現地の警察に追われて、逃亡して、銃撃戦をやって、最後には・・・ってなストーリーにふくらませたほうが良かったんじゃないかねぇ?
 
それなのに、この映画がヘンテコに高い評価を受けちゃっているんだよなぁ。女子高生の役をやっている菊地凛子(実は26歳)っていう女優さんがこの役で評価されちゃって、ゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされちゃっているものなぁ。演技がどうのこうのな役でもないし、うまい役者だとも思えないのに、なぜなんだろうねぇ? ベビー・シッターのおばちゃん(この人もノミネートされてるんだよね)のほうがいい演技していると思うんだがなぁ・・・。
この菊地凛子っていう女優さん、昨年、キムタクがウサギ男に変身するパソコンのCM(通称、ウサタク)で、変身するキムタクの隣で「あなた、オオカミ男なのね!」と騒いでいた女優さんだよねぇ。あの演技もなんだかなぁ・・・。
前述の通り、この映画では意味もなく全裸になっていて、乳も陰毛も見せているんだけど、
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全然、魅力的ぢゃないなぁ・・・。
 
タイトルの「バベル」ってのもなんだかなぁ。この映画の監督の談話によると、「バベル」っていうタイトルのモチーフは「バベルの塔」らしいんだけど、全然、「バベルの塔」とは関係のない内容じゃないか。
「バベルの塔」って旧約聖書に出てくるあれだよ、人間が高い高い塔を建てて神に刃向ったというその塔の名前。結局、神の怒りをかって、その塔は破壊され、罰として人間たちは互いに会話の言葉が通じなくされてしまい、それが地上にいろいろな言語ができた始まりだった・・・という内容で、「人間のおろかさ」の象徴という意味になっているあれだ。でも、この映画には神は関係ないし、「人間のおろかさ」とも関係がない。このストーリーのいったいどこが「バベルの塔」なんだぁ?
こんな無意味な映画を作っちゃう人間のおろかさ・・・ってなところなんだろうか?
 
ってことで、こんなガラクタ映画は絶対に見ないように。
 
 
映画「バベル」
http://babel.gyao.jp/
http://www.imdb.com/title/tt0449467/
ウサタク
http://www.fmworld.net/fmv/usataku/
http://www.fmworld.net/fmv/usataku/web_movie/img/webmovie_img.jpg
 
 

 
 

 
 

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